Go to contents

[オピニオン] GPSの鎖

Posted June. 10, 2006 03:34,   

全地球測位システム(GPS)は、インターネットと同様、軍事用として開発され、1980年代に入って民需用として使われ始めた。GPSは、地球を1日に2度まわる24の衛星で編成されている。GPS受信機は、衛星が送る情報を受け取り、三角測量法を利用して使用者の位置を計算する。GPSは、天気と関係なく、世界中どこでも1日24時間作動する。GPSが最も活発に使われる分野は、自動車だ。GPS受信機に目的地を入力すれば、最短距離を計算して、自動車の速度、方向、路線、走行距離はもとより、残りの距離も知らせてくれる。

◆インターネットのようにGPSが活用される分野も、ますます拡がっている。GPSを性犯罪者の監視に使う法律が、米23州で可決された。人権侵害の論議はあるが、性犯罪から子どもを安全に保護しようという社会防衛の論理が、より世論の支持を得ているためだ。性犯罪者は再犯率が高い。常習性犯罪者は、性倒錯的習癖が完治しない限り、自ら理性的に行動を抑制する可能性が稀薄だと、専門家たちは言う。

◆性犯罪者たちに長期刑を言い渡し、社会から隔離しなければならないという見解もある。彼らを長期間拘留して管理しようとすれば、矯正予算が雪だるま式に増加する。このような悩みをGPS受信機が解決してくれる。執行猶予や仮釈放、あるいは刑期満了で釈放される性犯罪累犯者の足首や腰にGPS受信機を取り付ければ、2秒間隔で位置が把握される。1日の管理コストは、たったの10ドル。刑務所の増設や管理、矯導官増員の予算とは、比べものにならない。

◆韓国では性犯罪の申告率が6.1%にとどまり、常習累犯者に対するGPSは効果的ではないという主張もある。しかし、米国では性犯罪の予防に大きく貢献している。一部の国家では、性犯罪者の外出制限だけでなく、「化学的去勢」の主張まで出ている。GPSは、これに比べれば、人権侵害の素地がずっと小さい。真夜中でも衛星が自分をのぞき見ていると思えば、犯罪的衝動は萎縮せざるをえないだろう。

黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com