「米国やサウジアラビア、モロッコ、ナイジェリア、ケニアの招請を受けて、中国の胡錦涛国家主席がこれら5カ国を国賓訪問(state visit)する」。11日の中国政府のホームページの内容を見ると、胡錦涛主席は米国も国賓訪問するようだ。中国外交部の報道官も先月、「国賓訪問」を発表した。しかし、米ホワイトハウスの発表は違う。国賓訪問ではないただの訪問(visit)だ。米国は中国が望んだ国賓訪問を受け入れない代わりに、国賓訪問だと発表することを受け入れることにしたようだ。
◆03年の国家主席就任後初の訪米でも、胡錦涛主席は、首脳晩餐ではなく昼食会だけを行った。華やかな礼服に美辞麗句の歓迎のあいさつ、優雅な乾杯のようなシーンはない。体面を重視する13億の中国人に、米国で接待を受けるリーダーの姿を見せることはできないというわけだ。米国がこれを知らないはずがない。ニューヨーク・タイムズ紙は、中国人学者の言葉を借りて、「ブッシュ大統領は、中国が喜ぶ姿を見たくないのだ」と述べた。
◆首脳会談は、両国関係だけでなく国内関係にも特別な意味がある。そのうえ今回の会談は、世界のヘゲモニーを握る米国と、いつその席を占めるかもしれない「浮上する中国」の関係づくりの席でもある。あいにく両首脳はいずれも、国内で楽な状況ではない。11月の中間選挙を控えたブッシュ大統領は、「中国に雇用を奪われる」と信じる有権者を説得しなければならず、来年に新全国人民代表大会を行う胡錦涛主席も、ブッシュ大統領と肩を並べるリーダーシップを誇示しなければならない。
◆ドイツや日本など、一時「浮上した国家」は、国内勢力を結集して経済成長で奮い立った後、戦争を起こすコースを歩んだ。中国が「和平屈起(平和的に立つ)」を強調し続けても米国が警戒心を持つのは、このためだ。幸いにも両国は、経済で緊密に編み込まれていることを互いに知っている。米ソが核を十分に承知していたために、核戦争を避けられたのと似た状況だ。今回の会談の結果が、21世紀の世界秩序を左右しうる。
金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com






