歴代のカトリックの宗教指導者のうち断然として目立っている人物に、イタリアの聖フランチェスコ(1181〜1228)が挙げられるだろう。聖フランチェスコは、「選択の自由」を初めて認めた人物だ。中世には、教会の指示には、無条件に従わなければならなかった。しかし、聖フランチェスコは教会に通わなくても、普段キリスト教の教えを実践してさえすればよいと説教した。暗黒時代に、民衆たちに一条の救援の光を与えたのだ。このような人本主義的な教会改革運動は、ルネサンスの誕生が精神的な背景になった。今、世俗化した現代社会でも、宗教的リーダーの役割は拡大しつつある。
◆24日、公式叙任式を行った鄭鎮奭(チョン・ジンソク)枢機卿は、「困難にさらされている人々を導く、夜空の小さな星の明かりになりたい」と語った。枢機卿としての抱負だ。「小さな星の明かり」という言葉で感じられるように、鄭枢機卿は謙虚だ。鄭枢機卿は「周りの人々からは私に、『金寿換(キム・スファン)枢機卿がしてきた役割を果たしてほしい』と注文するが、あの方の宗教的なカリスマには、私は到底ついていけない」と打ち明けたりした。金枢機卿に対して礼儀を示し、謙虚な姿を見せた。
◆鄭枢機卿は以前は、教会の外の事については言葉を慎んできた。しかし、枢機卿になってからは国家の指導者に対する「注文」を積極的に発している。初の記者会見で社会統合を強調した鄭枢機卿は、今回の敍任式にあたっては「国民の幸せのために努力しない者は、指導者の座からは退かなければならない」と重い口調で述べた。また「大韓民国の歴史は、失敗してきた歴史」という自虐的歴史観を意識したように、「国力の伸張のために韓国から二人の枢機卿が出ることができた」と述べ、韓国の経済を高く評価した。
◆政治、経済の指導者は国民の物質的な幸せのために、宗教の指導者は精神的な幸せのために務めなければならないというのが、鄭枢機卿の指導者観だ。体と心が疲れている人のために「小さな星の明かり」になるという鄭枢機卿の言葉は、成果もあげずに大きな声だけ出している政治家たちに比べ、もっと素朴で心に入ってくるものだ。鄭枢機卿は、「残念ながら、ソウルの空には星が見えない」と述べた。リーダーシップを失った政治家たちには、これより痛恨の隠喩はないだろう。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com






