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「拳が笑う」 女子プロボクサー金ジュヒ

「拳が笑う」 女子プロボクサー金ジュヒ

Posted June. 02, 2005 06:42,   

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ある日、父親の会社が倒産した。父親はショックで倒れた。母親は家を出た。幼い姉妹は突然家長になった。しかし、その家庭にはいつも笑いが絶えなかった。妹はお姉さんのことを「ママ」と呼んだ。一緒にご飯を炊き、洗濯をし、身体の不自由なお父さんの世話をした。

○地下ワンルームで父の世話

女子プロボクシングの国際女子ボクシング協会(IFBA)ジュニア・フライ級の最年少世界チャンピオンである金ジュヒ(19歳、巨人体育館)選手。先月31日、ソウル永登浦区文来洞(ヨンドゥンポグ・ムンレドン)にある巨人体育館(館長・チョン・ムンホ)で、彼女に会った。160cm、50kgに、レゲエスタイルの髪型の少女。表情が明るい。何を聞いてもさばさばした答え方。彼女は現在もソウル永登浦区道林洞(トリムドン)の地下ワンルームで父親と暮らしている。保証金500万ウォンに月40万ウォン。これまで面倒をみてくれたお姉さんは昨年から米国に留学中だ。

「私よりも貧しい人がたくさんいます。貧困が恥ずかしいことや隠すようなことではないでしょう」。

彼女は中学2年の時、ボクシングを始めた。一目ぼれだった。サンドバックを叩くのが何よりも好きだった。

そして、昨年12月19日、韓国系米国人ボクサーのメリサ・シェーパー(26)選手を破ってチャンピオンになった。対戦料は2500万ウォン。うち税金、健康保険料など700万ウォンを除いて1800万ウォンを獲得した。しかし、その半分は治療費に当てられた。病院では彼女の病歴チャートを「日誌」と呼んでいる。分厚い本一冊分の厚さ。試合が終わった後は、手首や腰、眉毛あたり、足首など痛くないところがほとんどない。5月6日にフィリピンのマイダ・キトシュランを相手に1回目の防御に成功してやっと体の調子が正常を取り戻した。11戦8勝(3KO)2分け1敗。

「20歳になる前に必ず世界チャンピオンになりたかったです。夢を実現するために大学進学も見合わせています」。

彼女は練習の虫だ。通常、男子選手たちは試合前に150ラウンド(1ラウンド3分)ぐらい練習スパーリングを行う。しかし、彼女は300ラウンド以上をこなす。男子選手5人と1ラウンドずつの連続スパーリングも。その場合、大体4人の男子選手らはほぼグロッキー状態になる。彼女を指導しているチョン・ムンホ(48)館長は「まるで狂ったみたい」と呆れた顔。

○スパーリング時、「狂ったみたい」と言われ喜ぶ

「館長に『狂ったみたい』と言われた時、一番うれしいです。私は運動する時は狂ったように夢中になってやるから。『狂ってこそ狂える』というじゃないですか」。

彼女は9月に、IFBAフライ級チャンピオンであるライバル崔(チェ)シンヒ選手と世界タイトル統合戦に出る。午前5時から午後12時までの地獄の訓練に突入する。その合間、洗濯し、ご飯を作ることも当然彼女の仕事だ。辛い時は教会で祈りをする。休む時は歌手朴カンソンの「玩具兵士」を聴く。大好きな異種格闘技選手、チェ・ホンマンのパンチが今一で悲しい。機会さえあれば「個人レッスン」をしてあげたい。

金ジュヒは明るい。堂々としている。彼女の拳は決して泣いたりしない。いつも大笑いしている拳だ。



金華盛 mars@donga.com