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[オピニオン]『心の旅路』

Posted February. 14, 2005 22:33,   

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趣味生活と職業的な理由で数千本の映画を見た。ロマンスとアドベンチャー系の映画が特に好きで週末ごとに最新作を逃さず見る。しかし最も胸を打たれた映画を選べと言われれば、ためらわずにマービン・ルロイ監督の白黒映画『心の旅路』を挙げる。1942年、米国MGMが制作して60年余りが経っても映画ファンをとらえている思い出の名画だ。国内でも1954年、『Random Harvest』という原題を『心の旅路』と訳して封切られた。

◆名門家の息子であるチャールズ(ロナルド・コールマン)は第1次世界大戦中、戦闘で負傷をして記憶喪失症にかかる。終戦を迎える日、霧に乗じて収容所を抜け出したチャールズは偶然会ったダンサー、ポーラ(グリア・ガーソン)と結婚した後「スミティ」という愛称で呼ばれる。ある日、自動車事故で過去の記憶を取り戻したチャールズは、故郷に帰ってビジネスマンと政治家として大きく成功するが、この3年間のことを思い出すことができなかった。過去への手掛かりはポケットに入っている鍵だけだ。

◆夫の行方を探して回るポーラは、紆余曲折の末にチャールズの秘書になって彼を助けてきたが、途中である男と二回目の結婚をすることになる。しかし彼女は貧しい時代夫との思い出を蘇らせるように努める。数年後のある日。スト問題の解決のために地方区に行ったチャールズは、何かに惹かれたように村の道に沿って歩く。いつか来たような家の前に至ったチャールズが、いつも持っていた鍵で玄関のドアを開いた瞬間、自分の昔の愛称を呼ぶ妻の声を聞く。

◆最近伝えられた韓国版『心の旅路』はこれよりもっと切ない。墜落事故で記憶喪失症にかかった女性が自分を救ってくれた生命の恩人と結婚して暮していた。およそ20年ぶりに昔の家族に会ったが、依然として過去を思い出すことができないという。女性は事故前に2男1女を残していたし、夫は妻を待ちながら結婚もせずにいたと言う。自分を真心で面倒を見てくれた現在の夫と24年も待ってくれた昔の夫との間で悩む切ない『心の旅路』に違いない。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員oscar@donga.com