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[社説]「脱北者スパイ」、隠していたのではないか

[社説]「脱北者スパイ」、隠していたのではないか

Posted December. 02, 2004 23:07,   

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最近、急増している脱北者に「スパイ」が紛れ込むこともありうるのではないかという懸念が、現実のものになった。脱北者の李容疑者は今年4月家族に会いに北朝鮮に入ったが、北朝鮮当局に逮捕され、韓国内の脱北者の状況などについて報告したうえ、口止めまでされて韓国に帰ってきたという。当局は李容疑者が自首したことを挙げて、「積極的なスパイ行為とは思えない」と説明しているが、これで片付けられるような問題ではない。

まず、脱北者管理に手抜きがあることを指摘せざるを得ない。昨日、鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、「脱北者による北朝鮮密入国の例が他にもある」ことを明らかにした。だが、政府がこれまで脱北者の体系的な管理のために、何らかの措置を取ったということは聞いていない。これでは、第2、第3の「脱北者スパイ」が出てきてもおかしくない。

マスコミに報じられてから慌てて事件の全容を公開した政府の態度も釈然としない。当局は今回の事件について、意図的隠ぺいではないと主張しているが、李容疑者の自首から6カ月も過ぎている今でも「捜査中」というのは納得し難い。結局、「スパイ事件」を隠したい政府の思惑が働いたのではないかと疑問を抱かざるを得ない。前政権の時から「スパイ検挙」のニュースが消えていることを考えると、今回の事件は北朝鮮の顔色ばかりうかがう政府の姿勢が、危険な水準を超していることを示すものではないか。

表向きでは「民族協調」ばかり口にしながら、裏ではスパイを送る北朝鮮の二律背反した態度は批判されて当然だ。しかし、より大きな問題は、こうした北朝鮮の態度を分かっていながら、南北対話にこだわって大概のことは伏せようとする政府の姿勢だ。脱北者がその気になれば、いつでも北朝鮮を行き来できる現状で、国家保安法の廃止を主張している政権与党を国民は冷めた目で見るしかない。

政府は今回の事件の真相解明を徹底し、脱北者管理のための補完策を講じなければならない。また、北朝鮮に対しても厳重な抗議を行い、再発防止の約束を取り付ける必要がある。