ソウルのことを「600年都市」と言う。李氏朝鮮を建国した李成桂(イ・ソンゲ)が都をソウルに移した1394年を基準にしたものだ。今年でちょうど610年になる。人の年で数えれば、還暦を10回も過ごしたわけだから、長久な歳月だ。実際、地球上でこれほどの年輪を持つ首都はそれほど多くない。500年以上、首都の命脈を受け継いでいるところはローマ、ロンドン、パリ、ボン、アテネぐらいだという。
◆首都としてのソウルの歴史は600年をはるかに上回って2000年にもなるという。元老国史学者の韓永愚(ハン・ヨンウ)教授の言葉だ。同教授は、ある学術大会の基調講演(9日発表予定)を通じて、ソウルが首都として蓄積してきたイメージとブランドは、一夜にしてできたものではなく、漢城百済(ハンソン・ベクジェ)時代から始まった2000年の歴史があってこそ可能なことだったと説明する。31人の百済の王様の中で、21人がここで統治し、高麗(コリョ)時代には首都に準する南京(ナムギョン)として300年間三国文化を融合させたということだ。結論は明らかだ。長年の歳月、ソウルが首都としての資格を享受しているのは、それ相応の立地条件を備えているためであり、従ってこれからも引き続き首都として残るべきであるということだ。
◆首都移転を推進している政府はこうした「ソウル礼賛」が気に入らないようだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は一昨日、釜山(プサン)訪問の時に、「(ソウルは)空気が空気でないし、子どもを育てられない。みんなアトピー性皮膚炎を起こし、その子を連れて江原道(カンウォンド)に何日泊まれば良くなるほど空気が汚れている」と話した。交通地獄、住宅問題についても触れた。一言で「人が住めない都市」と言いたかった模様だが、だとしても「アトピー性皮膚炎」の発言は度を過ぎた。いくら首都移転の当為性を強調するのが急だったとは言え、大統領の口からそうした非科学的な「ソウル卑下」発言まで出るのは言いすぎではないか。
◆同じソウルに対する大統領と歴史学者の見方がこれほど違うから、国民は紛らわしいだけだ。首都移転に賛成する人には大統領の言葉が、反対する人には歴史学者の言葉が無条件に正しく聞こえるのではないだろうか。問題は首都移転そのものではなく、「二つのソウル」をめぐって生じる対立と葛藤だ。悲劇といえばそれが悲劇に他ならない。
宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com






