韓中両国がマラソン交渉の末、5項目の合意を導き出したが、形式や内容いずれにおいても、高句麗(コグリョ)史歪曲問題を解決するには不十分だった。「意味のある第一歩を踏み出したと見ればいい」と評価した外交部関係者の説明自体が、今回の合意が「小さなスタート」に過ぎないという告白も同然である。
韓中間の合意に、歴史歪曲を行なった中国の謝罪が含まれていないことからして、容認できない。いくら外交交渉の産物だと言っても、「高句麗史問題が両国の重大懸案に台頭したことに対して、中国側が心に留める」という表現を、歴史歪曲に対する反省と受け入れることはできない。
中国の歪曲事実の是正意志も期待に及ばない。中国は、政府レベルで必要な措置を取ると言いながらも、外務省ホームページの高句麗史の原状回復を求める韓国政府の要求を事実上拒否した。韓国外交部は、中国が来年の秋学期に使用する小中高校の歴史教科書に歪曲内容を載せず、政府レベルで歪曲しないと約束したと説明したが、公開された合意の中には、そのような内容が含まれていなかった。
両国は、このような不十分な交渉結果を、文書ではなく口頭合意で整理した。中国が「高句麗史問題を政治に争点化せず、学術的に解決しよう」という2月の両国の合意を無視して、むしろ歪曲を拡大した前例を考えれば、今回の口約束にどれほどの拘束力があるのか疑わしい。
政府自らがスタートだと認めた以上、歴史歪曲の完全な解決のために、緊張を緩めてはいけない。外務省次官の任命3日後に訪韓したことで、中国が少し引き下がったと安心してはいけない。地方政府、学界、マスコミに広がった中国の歴史歪曲を阻止するには、中央政府の心を変えなければならない。歪曲行為の整理を拒否した中国のペースに乗せられてはいけない理由がそこにある。中国の謝罪と是正、そして再発防止の約束を導き出してこそ、高句麗史歪曲問題が解決されるのだ。






