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宋斗律被告、一部無罪で釈放

Posted July. 21, 2004 22:40,   

ソウル高等裁判所の刑事6部(金竜均・部長判事)は21日、国家保安法違反の容疑で一審で懲役7年を言い渡されたドイツ在住の社会学者、宋斗律(ソン・ドゥユル、59)被告に対して、原審を覆し、懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。

裁判所は判決文で、「検察が提示した証拠は、宋被告が北朝鮮の政治局候補委員だと断定するだけの証明能力がない」と述べた。このため宋被告は、同日午後、ソウル拘置所で釈放された。

裁判所は、公訴事実の中で、92年5月から94年3月までに5回に渡り北朝鮮を訪れ、故金日成(キム・イルソン)主席に会った容疑(国家保安法上特殊脱出)と、98年に虚偽の事実を根拠に黄長鎏(ファン・ジャンヨプ)氏に対して訴訟を起こし、裁判所を騙そうとした容疑(刑法上詐欺未遂)に対しては、有罪を認めた。

判決は、「犯罪の証明は、合理的で疑いの余地がなく、完璧でなければならない」とし、「宋被告が北朝鮮の政治局候補委員という容疑は、有罪である疑いがあるものの、厳密な証拠が不十分なため、無罪と判断する」と述べた。

判決は特に、「検察が作成した調書は、被告が北朝鮮政治局候補委員だと自白したものと見ることができず、黄氏の供述は内容が抽象的であるうえ、そのほかの証拠も証明能力を認めることが難しい」と述べた。

著述による反国家団体の指導的任務遂行容疑に対して、裁判所は、「被告の問題となった著作物は、北朝鮮寄りであることは認められるものの、全体的な著述に占める比重が小さく、国家の安全と体制を脅かす内容でもない」として、無罪を言い渡した。

裁判所は、一審で有罪が認められた故金日成主席への弔問と金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日祝賀文の送付に対しても、「儀礼的なことであり、民主的基本秩序に害悪を与える危険が明白であると見ることはできない」として、原審を破棄した。

宋被告が92年5月以降、北朝鮮に5回訪れたことに対して、裁判所は、「対南工作と北朝鮮体制維持のための目的遂行のためのもの」として、有罪を認めた。

また、黄氏に対する訴訟に対しても、「被告が労働党に入党して、北朝鮮と持続的に連絡を取り、金チョルスという仮名を使っていただけに、黄氏に対して訴訟を起こしたことは、裁判所を騙そうという意図があったものと考えられる」と明言した。

量刑については、「被告の北朝鮮密入国は、国家安全保障に大きな危害を与えた反国家的行為であり、絶対に越えてはならない実定法秩序の境界まで越えたもの」としながらも、「しかし、被告の学者としての権威がすでに取り返しのつかない傷を負ったという点などを考慮し、刑の執行を猶予する」とつけ加えた。

さらに、国家保安法について「依然として規範性を備えているが、人権侵害の素地が大きいため、『国家の存立安全や自由民主的基本秩序に害悪を与える明白な危険がある場合』に限り、制限的に適用しなければならない」と述べた。

検察は、直ちに上告する方針を明らかにした。



全芝星 verso@donga.com