フランス・パリで自殺すること決めた人々が多く訪れる場所はエッフェル塔だ。エッフェル塔は「自殺者の塔」というニックネームを持っている。339番目の自殺事件が発生してから、私服を着たパトロール隊員が増員されて高い欄干が設置された。英国のロンドン塔、米ニューヨークのエンパイアステートビルも高い自殺率を見せている。米サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジは1937年建設されて以来、自殺者が500人を超えるや橋周辺に監視カメラを設置して警察がパトロールに回り始めた。
◆人々がこの世と最後の別れを告げる場所としてエッフェル塔のように有名な建築物や名所を選ぶ理由はどうしてだろうか。エッフェル塔から飛び降り自殺した人のうち、多くはその場所で起きた自殺事件が報じられた新聞を持っていたという。公共場所での自殺を演劇的な行為とみる観点もある。自殺しようとする人が観客またはニュースの視聴者に向けて「私に起きた事の責任はあなたたちにもある」と宣言する意味があるというのだ。ある演劇俳優は観客がいなければ死ぬことができないと言ったとか。
◆漢江(ハンガン)に身を投げて命を絶つ事件が相次いでいる。前建設会社社長、道知事、市長、今度は腐った材料でギョーザーを作って販売した30代の食品会社社長…。警察がパトロールを強化したというが、どれほど予防することができるだろうか。最近、一連の漢江投身を日本の侍の腹切り文化に似ていると解釈する心理学者らもいる。戦いで敗北した侍たちは敵が自分を踏みにじり、侮辱する可能性を無くすことで自ら名誉を守ると思った。侮辱されるより自殺の道を選択するのだ。
◆最近多くの自殺者たちはどうして漢江を選び、人々に向けて何を言いたいのだろうか。自殺の歴史に関して記述したマルタン・モネスティエは投身自殺者たちは他の方法で自殺する人より場所の選択に愼重を期するようだと分析した。すべての責任を負って死ぬというメッセージを伝えようとするのか、社会的不名誉に耐えることができなかったのか、死亡者の心情を推し量ることは容易ではない。ただ我が社会が透明な社会に向かう過程で起きる切ない悲劇という点だけは明らかなようだ。
黄鎬沢(ファン・ホテク)論説委員hthwang@donga.com






