「私はお祖母さんみたいに痴呆にかかったら舌を噛んで死ぬつもりだ!子供たちの荷物になるのは絶対いやだ!他の病気には全部かかっても、痴呆にはかからない!」KBS第2テレビのドラマ、「花より美しく」で母(コ・ドゥシム紛)が痴呆にかかった姻戚のお祖母さんに浴びせる場面だ。痴呆にかかりたがる年寄りがいるだろうか。お祖母さんも昔は礼儀正しくまじめな人だった。人生の深さを知り尽くしながら、人に対する深い愛情を持っている作家ノ・ヒギョンは、ここに驚くべき伏線を隠しておいている。痴呆にかかった姻戚のお祖母さんが、他ならぬ母の未来の姿ということだ。
△韓国の老人人口の8.3%である30万人あまりが痴呆を病む。生活水準と医療技術の向上とともに平均寿命が伸びるのはありがたいことだが、それに合わせて痴呆患者までもいっしょに増加するに違いない。米国では85歳以上の老人2人のうち1人がアルツハイマー病にかかるとみている。10年この病を病んでいる92歳のロナルド・レーガン元大統領は歩くこともできないし、言葉も話せない。夫婦愛が格別だったナンシー女史は、「瞬間瞬間がどんなに大事なのか改めて感じる」と言ったそうだが、患者だけでなく周りの人も苦しまざるを得ないのが普通だ。2人のうち1人が鬱病にかかり、10人のうち1人は怪我をするか、病にかかるという統計もある。
△痴呆で療養中だったお母さんを乙淑島(ウルスクド)広場休憩所に捨てた40代長男の「現代版高麗葬(訳注:高麗時代に70歳になった老人を山に捨てた風習)」は多くの人々を憂鬱にさせる。体重が38kgしかならないお母さんだった。保険金を狙った殺害の可能性もあると言うが、息子は月140万ウォンの給与では看病費と治療費を出すのが難しくて、こんなひどいことをしてしまったと言った。基礎生活保障対象者にでもなったら無料療養施設を利用できるが、その基準を35万ウォンぐらう超える彼はその恩恵も受けることができなかった。
△お金もお金だが、親を思う心だけでは痴呆老人の問題は解決できないというところに深刻性がある。「赤んぼうが親になり、親が赤んぼうになる」と言う言葉を信じて親の世話をするためには、ほとんど精神修養をする水準にまで至らなければならない。07年から痴呆など老人性疾患者に、看病と治療費用を80%まで支援する老人療養保険制度が実施されるそうだ。老父母の面倒を見ている人たちは、その時までだけでも是非発病しないよう祈らなければならないだろう。その前でも物忘れがひどくなったら、予め診察を受けて家族の負担を減らしてあげなければならないのは勿論のことだ。
金スンドク論説委員 yuri@donga.com






