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[オピニオン]年齢差別

Posted March. 07, 2004 22:55,   

世界は今、年齢差別を禁止する傾向にあり、欧州連合でも2000年に年齢差別禁止に関する指針をまとめ、加盟諸国の立法を促している。「年齢差別」を禁ずる法律を、最も早く制定した国は米国である。米国は1967年に年齢差別禁止法を制定して、年齢を理由に採用を拒否または解雇したり、労働条件、福祉上における差別を禁じている。この法律による適用対象は「40歳以上の労働者」となっている。

◆これまで、年齢差別をめぐる訴訟は、年配者が若い人に比べて差別を受けたというケースだった。ところが、最近は「年配者を若い人に比べて優遇する逆差別問題」が争点となっている。先月、米国の連邦最高裁は、年齢による逆差別について初の判決を言い渡した。ある会社が、退職の際、50歳以上の社員に限って終身健康保険の恩恵を与えることで労働組合と合意した。ところが、結果的に40代の社員数百人がその恩恵から外され、年齢による逆差別を受けたとして、訴訟を起こした事件だった。

◆この事件をめぐり、1審では年齢差別ではないとしたものの、控訴審では年齢差別だとし、連邦最高裁は年齢差別ではないとの最終判決を下した。その理由は、年齢差別禁止法が規定している年齢差別とは、年配者であるという理由で不利益を加えることを禁じているだけで、優遇することは該当しないため、同じ法の保護対象である40歳以上の労働者のうち、年長者の社員を優遇したのは侵害ではないというのだ。

◆韓国で、年齢差別が平等権侵害の差別行為として初めて規定されたのは、2001年に制定された国家人権委員会法である。年齢などを理由に就業の際の労働条件などにおいて不利な差別を受けた場合、国家人権委員会に陳情することができるとともに、訴訟の根拠となる。韓国では、年齢による差別の現象が複合的に発生しており、20、30代の若年層が就業年齢の制限によって就業の機会を奪われる年齢差別問題と、40代以降の労働者が、職場で年齢を理由に不利益を受け、優先解雇の対象となる問題が同時に発生している。年齢差別がこれほど深刻であるにも拘わらず、外国のように平等権侵害を理由にした訴訟など、権利救済措置が少ないのも異例のことと言える。

鞖今子(ぺ・グムジャ)客員論説委員(弁護士)baena@chol.com