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[オピニオン]「クリーンな選挙委員会」

Posted March. 02, 2004 23:06,   

「戦争は平和、自由は隷属、無知は力」。ウィンストン・スミスが働く官庁の真理省の建物には党の三つのスローガンが貼ってある。記録局職員であるスミスの仕事は、過去の新聞を書き直して歴史を操作することだ。記録が操作されているから、戦争が平和で、自由が隷属であるのも無理ではない。同国では戦争を遂行するところが平和省だ。愛情省では法と秩序を維持するという名目で、拷問と反体制人士の除去を担当する。ジョージ・オーウェルの『1984年』の内容だ。

◆言語は意識を規定する。『1984年』の中の新語(Newspeak)は現実を逆に信じさせるのに止まらず、考えること自体を不可能にさせてしまう。自由平等などに属する全ての語彙が「罪思想(crimethink)一言に統合されることから、自由平等に対する概念自体が消え去ってしまうということだ。言語の政治的統制は小説の中でばかり行われるのではない。物品価格引き上げの代わりに使われる「価格現実化」、大量破壊兵器を意味する「ビックボーイ」「リトルボーイ」もやはり現実をごまかす一種の新語だ。

◆『1984年』では存在する言葉を無くすことで考えまでも無くそうとしたが、韓国の市場経済の現実では商品名を長くすることで、それまで考えていなかったことまで考えるようにする戦略が流行している。昔は「バナナミルク」で十分だった商品名が、この頃は「ミルクの中に本物のバナナ果汁たっぷり」ぐらいにしなければ実感が出てこない。「エゴ油をつけてもっと風味のでた在来ノリ」、「日差したっぷりの調理用醤油」など、商品の特性にユーモア感覚まで加味し、名前自体が広告である製品が溢れかえっている。

◆商品名が長くなれば、覚えるのは難しくても信頼感を与える效果がある。醤油に日差しを盛り込めたはずがないし、ミルクににせもののバナナ果汁を入れたり、ノリにミシン油をつけたりはしないだろうと信じるのが普通の人たちの心理だ。ヨルリン・ウリ党が中央選挙対策委員会の名称を「クリーンな選挙委員会」にしたことも、このような心理を把握したためだと思われる。クリーンな選挙を行うという意志をはっきりさせるためだと、ヨルリン・ウリ党は説明している。名前だけ見ていては、1月末現在、選管が摘発した選挙法違反事例の中で同党が最も多いというのは想像し難い。名前と実体が同じであれば、これ以上あり難いことはないのだが。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com