Go to contents

[オピニオン]霊物

Posted February. 13, 2004 23:25,   

世の中、時に人間の仕業が、動物のそれにも及ばないと思われる時がある。子どもの誘拐殺人や食べ物に薬物を混入したりする人を見る時、また、裏切りと謀略が乱舞する昨今の政界模様を見ていると、自ずとそんな気がしてくる。昔から虎のような猛獣が忠臣と親孝行者を助けたという話が、しばしば伝えられている。主人を危機から救った犬とネコの話は、今でも時折新聞の社会面に登場する。人間は、これほど英明で信義のある獣を、神霊な動物という意味で、霊物と呼んでいる。

◆ソウルの仁王(インワン)山には、一匹の忠犬が住んでいる。この犬は毎朝、山に登る一人の老人に、忠実に随行している。雨の日も雪の日も、1年365日を一日も欠かさない。犬は、毎朝同じ場所で老人を出迎えては山に登り、同じ場所で老人を見送っては、山に帰って行く。この犬が、老人に会うたび、体をすっと伸ばしてお辞儀をしているのを見て、人々は驚くばかり。今の世の中、あれほど親に仕える子どもがいるだろうか、というのだ。

◆韓国的な造形美で有名な彫刻家の崔鐘泰(チェ・ジョンテ)さんのソウル麻浦区(マポグ)ヨンナム洞にある自宅の周りに住むスズメの群れも、インワン山の犬に劣らない親孝行ぶりを見せてくれる。スズメたちとのふれあいから一日が始まる崔さんは、この10年間、一度も欠かさず一日3回、餌を与えてきた。崔さんが庭先に現れると、どこからとなくスズメたちが飛んでくる。スズメたちは、崔さんの帰宅が遅くなる日は、屋根の上に一列に並んで主人の帰りを待っている。遠くから足音が聞こえてくると、一斉に飛んでいっては主人の後について帰ってくる。崔さんは、スズメたちとのふれあいを、自分の傑作品と同じぐらい大事にしている。

◆『無所有』の著者、法頂(ポプチョン)和尚が住んでいる曹渓(チョゲ)山の中腹にある仏日庵(ブリルアム)のリスも同じ。

法頂和尚は、修行の合間を縫っては、庵の周りに棲む鳥やリスたちに穀物を与えていた。いつの頃からかリスは、法頂和尚が朝寝坊でもした日には、決まって庵の中まで入ってきては「トントン」と扉を叩いたりした。お陰で、法頂和尚は修行を怠けることができなかったという。このような霊物の話を聞くたび、恥ずかしさを覚えるのは私だけだろうか。万物の霊長となるのは、決して生易しいことではないのだ。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com