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ハイイロガンは私を母のように懐いた

Posted January. 16, 2004 23:30,   

「野生ハイイロガンと過ごした1年」/コンラート・ロレンツ著/ユ・ヨンミ訳

オーストリア生まれの世界的な動物行動学者のコンラート・ロレンツ博士(1903〜1989)は、「放牧飼い」を強調した。生きている動物をできるだけ自然な状態で観察してこそ、自然について突っ込んだ質問ができるという。

ねずみ、猿、黒丸カラスなど、高等動物を小屋に入れず、家の中で無制限の自由の中に放し飼いするロレンツ博士の方法論は少なくない対価が求められた。博士の夫人は危険な動物から赤ちゃんを守るため、家の中に大き目のおりを持ち込んで、その中に赤ちゃんを閉じこめて育てた。

それでも博士はたっぷり償ってもらった。「逃げることができるはずだが、まだ私のそばに残っている動物は私には言葉では言いようのない喜びを与えてくれる」(著書『ソロモンの指輪』から)

ロレンツ博士の目を見張るほどの研究成果も解放して飼育した動物のおかげだ。ロレンツ博士はハイイロガンの雛が卵から生まれて初めてみるものを母と認識し、愛着を持つという、いわば「すり込み」のメカニズムを究明した功労で1973年ノーベル生理医学賞を受賞した。

1973年ロレンツ博士は研究チームを率いて、オーストリアのアルム湖畔に行った。ハイイロガン一羽一羽に名前をつけて呼び、一緒にハイイロガンの雛の面倒を見、家出した「青年ハイイロガン」を待ち焦がれながら、野生ガチョウと過ごした1年を147枚の写真と文章に生々しく盛り込んだ。

●春、夏、愛とはらみの季節

交尾期が近づいてきた野性ハイイロガンは、早春から本格的につがい始める。つがいをつくるのに成功すれば、驚いたことに「後戯儀式」を行うが、雄雌が一緒に首と尾をまっすぐに立てて、翼を広げたまま、持ち味の声を張り上げる。

ロレンツ博士チームは、野生の雄ハイイロガンの間にも後戯儀式を行う同性愛があることを見つけた。

雄ハイイロガン同士のつがいは、雌雄つがいより野生ハイイロガン社会で地位が高い。雄ハイイロガンの方が雌ハイイロガンより図体も大きく、力も強いからだ。

未婚の雌ハイイロガンが同性愛つがいの間に割り込む場合がある。しかし、雄ハイイロガンのつがいのうち、片方が雌ハイイロガンとつるんでも「後戯儀式」は自分のパートナーである雄ハイイロガンと行う。彼らにとって愛とセックスは別物だ。

この雌ハイイロガンが自分で巣をつくり、卵を温めて孵化に成功すれば、雄ハイイロガンは卵から生まれた雛を自分の仔として認め、保護してくれる。2羽の雄ハイイロガンと1羽の雌ハイイロガンが夫婦であるトリオは、たびたび発見される家族の形。ロレンツ博士は「力強い父ハイイロガンが2羽いる家庭のほうが1羽ある家庭より仔育てに有利だからだ」と解釈した。

野生ハイイロがんは、人と似たような家庭生活を営む。愛で結合した野生ハイイロガンは仔を生めば、よっぽどのことがない限り一生夫婦としての義務を地道に守る。

●秋と冬、そして野生ハイイロガンの教訓

アルム湖畔にはカレンダーがいらない。男の人の背ほどのアザミが生えると、秋やその年に生まれるハイイロガンの雛がすっかり飛べるころになる。そしてある日朝、急に山が雪に覆われ、木の葉っぱが黄色くなり、蜘蛛の巣に露玉がついたら、冬が近づいてきたのだ。

そのころ、野生ハイイロガンは大きな興奮状態に陥る。渡り鳥であるため、どこかに飛んでいきたくてならないのだ。

ロレンツ博士チームが、野生ハイイロガンを研究することになった契機は、野生ハイイロガンの生態が人間の家庭生活と酷似しているためだった。ロレンツ博士は、野生ハイイロガンとの1年の生活を紹介して、読者に生命体との交感を提案する。

「動物は道徳に対する概念がない。彼らのすべての行動は本能によるもので、決して家族と共同体に及ぼす結果を予測してやるわけではない。自然は正しいことを教えてくれない。・・・わたしたちがハイイロガンの生活を通じ、見習いたいことを探すなら、それはもっとも基本的なものであろう。寝方はどんなものか、休み方はどんなものか・・・・。」

この本はぐっすり寝込んでいるハイイロガンの姿で締めくくられている。ドイツ版は1985年発刊。



李珍暎 ecolee@donga.com