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[ワシントンの韓半島政策]〈4〉一貫した対北戦略は果たしてあるのか

[ワシントンの韓半島政策]〈4〉一貫した対北戦略は果たしてあるのか

Posted January. 08, 2004 23:24,   

「北朝鮮が核を放棄すると考えるか」

記者は、ワシントンでホワイトハウスや政府当局者たちに会う度に、欠かさずこの質問を投げかけた。しかし当局者たちは、直接的な返事は避けた。

北朝鮮の真意が分からないためだと言う。それを探る方法が6者協議であり、現在としてはその方法しかないと話した。

ワシントンの韓半島専門家たちは、政府のこのような態度が不満のようだった。北朝鮮核問題を本当に解決しようという「切迫感」が感じられないという。さらに、「そもそもブッシュ政権に一貫した北朝鮮核政策があるのか」と問い返していた。

▲口先だけ?〓「北朝鮮の核開発を中止させ、解決しようという切迫感が感じられない」。昨年12月5日に会ったセンチュリー財団のモートン・アブラモウィッツ所長兼首席研究員はこのように不満を吐露した。

アブラモウィッツ所長は、「米政府が北朝鮮と対話すると言っても、真剣に交渉に臨むという意味ではない」とし、「交渉進展に向けた『真の提案(serious proposals)』は、交渉テーブルのどこにも見られなかった」と話した。昨年末に次期6者協議が結局開かれなかったのも、協議進展に必要な『真の提案』がなかったためだという。

にもかかわらず米政府は、6者協議が成功裏に進められていると主張する。これに対して、ジョージタウン大学のロバート・ガルーチ国際関係学部長は、「北朝鮮は、核不拡散条約(NPT)を脱退し、核査察要員まで追放した。これが『成功』なら何を失敗というのか」と非難した。

ワシントンの一角では、北朝鮮と米国のいずれもが、6者協議で「交渉のふり」だけをする戦略を駆使していると疑う。11月の米大統領選挙までは、国際社会と民主党の非難を避けるために協議に臨む姿勢だけを見せるのが、ブッシュ共和党政府の戦略と同時に対北政策ということだ。

米政府当局者に単刀直入に聞いた。「北朝鮮が核を本当に放棄すると考えるか。さもなければ国際社会に米国ができることはすべてしたと示すために6者協議に臨むのか」

バックグラウンド・ブリーフィング(背景説明)を条件に会った政府当局者は、冗談まじりに「『演劇をしているのか(Are we pretending?)』と聞いているのか」言い、「両方だ(both)」と答えた。

アブラモウィッツ所長も、「6者協議は、米国が(交渉決裂を宣言する前に)中国と韓国に『北朝鮮と話し合った』という点を示すための一種の戦略的側面もある」と分析した。

▲よく変わる「シナリオ」〓米政府内の分裂で、対北政策の基調に一貫性がないという指摘も多かった。

ガルーチ学部長は、「ブッシュ政府内の対北政策の分裂は、深刻で根が深い」と説明した。彼の言葉を聞いてみよう。

「パウエル国務長官は、クリントン前政府の『ペリー・プロセス(Perry  Process)』を固守しようとした一方、国防総省、副大統領室、そして大統領を含むホワイトハウスは、関連国とともに孤立と圧力を通じて北朝鮮の改革を誘導したり、北朝鮮政権が崩壊することを願っているようだ。問題はまさにこのような根本的な分裂だ」

クリントン政府時代に作成されたウィリアム・ペリー対北特使の「ペリー・プロセス」は、対北包容政策を基本とし、アメとムチを並行する中道戦略だ。

例えば、北朝鮮と対話と交渉をすると大統領が決めても、対話と交渉の範囲、交渉期限などの細部的な事案をめぐり、さらなる論争と分裂が始まるという。

スチムソン研究所のアラン・ロンバーグ研究員は、「ブッシュ政府の問題は、大統領が乗り出して道筋をたてても、(強硬派、穏健派たちが)その意味を縮小させて、自分たちの方向に解釈しようとする動きがあることだ」と分析した。

アブラモウィッツ所長も、「例えば、大統領が『北朝鮮と対話する』と決断しても、政府内の分裂によって、その決定が直ちに実行に移されない」と話した。

保守性向の英紙ワシントンポストも、昨年12月8日付で、「米国の対北政策のシナリオがよく変わる」と指摘している。

▲パウエル長官の立場も不透明〓北朝鮮の核政策をめぐる政府内の分裂と葛藤の中でも、現在までは、パウエル国務長官が主張してきた「外交的努力」が、米国の公式立場ということに異見はない。

転機を作ったのもパウエル長官だった。昨年7月、ブッシュ大統領がアフリカを歴訪する時だった。パウエル長官は、ブッシュ大統領に随行し、大統領やライス安保補佐官とともに長期間北朝鮮核問題について話し合い、その後対話を通じた外交的解決に政策基調が旋回した。ブッシュ大統領は、その後パウエル長官の立場をさらに強化させ、結局昨年8月末に中国北京6者協議が開かれたという。ワシントンポストも、昨年12月7日にこのように報じた。

しかし、ワシントンの韓半島専門家の中で相当数は、政府内の長く続く分裂によって、果してパウエル長官の「強化した立場」が持続できるかどうか疑問を示している。

代表的な強硬派で「国務省内のラムズフェルド国防長官ライン」に挙げられるジョン・ボルトン次官らによって、国務省の中でも分裂の様相が現れているうえ、チェイニー副大統領を始めとする強硬派の影響力が少なくないためだ。

ある政府当局者は、「北朝鮮核問題の重要性が大きくなったことで、パウエル国務長官が大統領と直接話し合う機会も増えた」としながらも、「しかし、(最終決定権者である)大統領の最側近は、やはりライス補佐官とチェイニー副大統領だ」とつけ加えた。

ロンバーグ研究員も、「パウエル長官が、ブッシュ大統領から北朝鮮の核問題の解決法についての『権限(mandate)』を与えられたというが、これからの基調に対しては確信しがたい」と話した。

■「ネオコンの要塞」AEIが見るブッシュの対北政策

「米国の対北政策は、マヒ状態に近い(close to paralysis)」

「ネオコン(新保守主義)の要塞」と呼ばれる米企業研究所(AEI)。ワシントン北西の17街にあるAEIの事務所で会ったニック・エバスタット先任研究員は、「マヒ状態」「ブラックホール」などの刺激的な単語を使って、ブッシュ政府の対北政策を強く非難した。意外だった。

同研究員は、「約束を違反して核を開発している北朝鮮に対して、誰も制裁(penalty)を言わない」とし、「北朝鮮核問題を解決するには、北朝鮮が他の政権になるのが望ましい」と主張した。 「ブッシュ大統領は、北朝鮮核問題の平和的解決を望むというが、これは完全な幻想(complete fantasy)だ」とも言った。

—「悪の枢軸」発言から6者協議まで、ブッシュ政府の対北政策に真の変化があったのか。

「ブッシュ政府の対北政策は、いくらインプット(input)しても結果(output)が全く出ないブラックホールのようだ。北朝鮮に対する重油供給の中止、大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)発表、北朝鮮を非難したいくつかの演説の他に別段何の措置も取らなかった。北朝鮮に対する米国のアプローチは計画的でなく、対症療法的(reactive)だ」

—米国の対北政策を「マヒ状態」と言ったが…。

「米政府は、02年の韓国大統領選挙の結果を全く予想することができなかった。選挙で登場した新しい人物に対して、米国はどのように対するべきか分からず、それは今でも同じだ。米政府内の分裂も問題だ。北朝鮮政権の崩壊を追求するのか、包容政策を固守するのかをめぐる論争が続いている。無論、かなりの気流の変化はあった。現政府の穏健派も、クリントン政権時代の強硬派よりもずっと強硬だ。しかし、大統領が直接乗り出して決断を下さなければ(強硬、穏健派間の)分裂は解決されない」

—どうすべきか。

「北朝鮮政権が変われば解決されると考える。今よりもましな『独裁者』が政権を握るまでは、状況は悪化するだろう。いかなるやり方で、どう進むべきかは難しい問題だ。(ブッシュ政権発足後)3年間、韓米関係が悪化したという点も問題を複雑にした」



金正眼 credo@donga.com