米は炭水化物のほかにたんぱく質、無機質、ビタミンなどの栄養素を等しく備えている。小麦が主食である西洋人たちに比べ、われわれが肉や野菜を少し食べても健康なのは、米を主に食べているおかげだという。米は脂肪の含有量が少ないため、肥満と糖尿を予防するうえでも効果的だ。面積あたりの人口扶養力の面でも、米ほど優秀な穀物は見つけにくい。そのため、韓国を含め、人口密度の高い国は大部分米を主食にしている。
◆今年は国連が定めた「米の年」だ。国際的に米農作の生産性が深刻に低下していることから、そのように定めたという。飢えにあえいでいる8億人口を救うためには、米の生産を増やすための国際的な取り組みが必要だ。世の中はとても皮肉なものだ。韓国は米が有り余って、在庫の処理に頭を抱えているので、あえて国連が米の年と定めなかったとしても米問題は今年一年韓国の懸案になりそうだ。
◆韓国は1994年、ウルグアイラウンド(UR)農業協定に署名して、米市場の開放をしばらく棚上げし、04年に再交渉を行うことに、世界貿易機関(WTO)のメンバー国と約束している。農民は米市場の開放を「必死で」反対しているが、国際的な環境は開放が避けて通れないもの、というふうに流れている。韓国とともに特定品目市場の開放を見合せてもらっている日本(米)とイスラエル(羊肉)は、すでに開放した。味方がなくなったわけだ。それに対し、米輸出国である中国がWTOに新たに加入し、その圧力は何倍も大きくなる見通しだ。米国だけでも手に余っていたところに、韓国の商品の最大の輸出国である中国まで迫ってくれば、もはや持ちこたえられないものとみられる。
◆国益のためには農民も譲歩すべきだが、競争力を強化しろ、と農民にだけ押し付けてもならない。韓国の米耕作技術はすでに世界最高水準だ。そのような技術を持っても、高い土地価格と人件費のため、国際の米価格より何倍も高いという限界がある。開放による農民の被害を直接補償し、農村の生活水準を改善するのが「貿易韓国」と「農村」が共存する道だ。今年一年はみなにとってウィンウォンゲームになるような知恵を凝らしてほしい。
千光巖(チョン・グァンアム)論説委員 iam@donga.com






