盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の20年来の側近だった崔導術(チェ・ドスル)前大統領総務秘書官が、大統領選の直後巨額を受け取った疑いで検察に逮捕された。政界では、崔氏を「盧大統領の執事」と呼んでいる。大統領の最側近として、秘密の取引きや些細な家事に至るまで相談できるきわめて親しい間柄だという意味だろう。参謀が公的な業務を担当する役回りだとすれば、執事は内密かつ私的な事を手掛ける役目を持っていた。文民政府(金泳三元大統領時代)と国民政府(金大中前大統領時代)の頃は、韓宝(ハンボ)グループの秘密資金疑惑に巻き添えとなり、逮捕された洪仁吉(ホン・インギル)元大統領総務首席秘書官と、李容湖(イ・ヨンホ)ゲートに係わり投獄された李守東(イ・スドン)亜太財団常任理事が、それぞれ「上道洞(サンドドン、金泳三元大統領の私邸があることから)執事」と「東橋洞(ドンギョドン、金大中前大統領の私邸があったことから)執事」と呼ばれた。まさに、3代続けて「執事受難の時代」とも言えるだろうか。
◆国語辞典では「執事」を、主人の家に雇われその家のことを掌る人、またはキリスト教の奉仕職の一つとして規定づけている。英語では、前者の場合「バトラー(butler)」あるいは「スチュアード(steward)」、後者は「ディコン(deacon)」である。執事の由来は、新約聖書の使徒の働きに見ることができる。初代教会が繁盛し、貧しい兄弟と寡婦たちがつめかけると、イエスキリストの12人の弟子が、7人の真面目な働き手を選び、彼らを手伝わせたのである。パウロは、テモテへの手紙第一の中で、執事の条件として「謹厳で、二枚舌を使わず、大酒飲みでなく、不正な利を貪ってはならない」と強調している。
◆初代教会には、模範となるべき執事が多かった。自分に石を投げる人たちの許しを請いながら、叫びの中で最期を迎えた殉教者のステパノ、優れた伝道者だったピリポ、救済事業に手腕を発揮した女性の執事べべなどがその面々である。しかし、彼らは聖書の教えにしたがって、自分たちの奉仕と献身に対する如何なる賞給をも期待することはなかった。引退後、模範的な信仰および奉仕生活で世界の人々から尊敬されている米国のカーター元大統領も、浸礼教(バプテスト)の執事である。大統領在任のころ彼は、警護要員たちから「執事」のコードネームで呼ばれていた。
◆韓国の長老教会では、執事を2種類に分けている。生涯職の按手執事と、1年ごとに再任命される執事代理(署理)である。執事の「務めを果たす」ことが如何に大変であるかは、知る人ぞ知っている。密かに一杯呑んだり、たばこ一本吸おうにも、人目が気になる職分なのである。財力を持つ有力な信者に不正なカネを要求したり、教会の公金を横領して個人の借金返済に充てるのは、執事のやることではない。そのため、あらゆる献身と奉仕を惜しまない韓国教会の数多い「召し使い執事」たちは、このごろ「大統領の執事」一人のために、集団で侮辱されているようなものだ。集団で抗議でもするべきだろうか。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






