数年前、アフリカのサハラ砂漠取材のためにスーダンで半月ほど滞在したことがある。国内線の飛行機チケットを買うためにドルをスーダンの貨幣に両替したら、テニス鞄がいっぱいになった。いちいち数えることができなくて、100枚札の束で金を数えるのだが、束をいくつか選んで数えてみると、大抵100枚から1、2枚足りなかった。アフリカ、中央アジア、北朝鮮のような途上国を旅行すると、クレジットカードが使えない不便さに韓国の経済生活にクレジットカードがもたらした便宜性に改めて気づかされるのだった。平壤(ピョンヤン)の「オクリュクァン」やタンコギ(犬肉)屋に「ビザ」または「マスターカード」のクレジットカード加盟店の表示がついてこそ、北朝鮮にも市場経済が本格的に導入されたという信号ではないだろうか。
◆韓国にクレジットカードが初めて導入されて25年経ったが、1993年の時はカードの全使用額が1兆ウォンを超えなかった。1990年代後半からカードの利用者が急激に増えはじめ、02年にはカードの全使用額が623兆ウォンに達した。韓国はクレジットカードの使用額規模では、米国、英国、中国に続いて世界上位4位に上がり、フランスや日本に先駆けている。だが、クレジットカードの急成長の裏には、カード犯罪と信用不良者の量産といったマイナスの病理現象が見られる。カードの債務に首が回らなくなった信用不良者が絶望にあえぎ、出口を見つけられず犯罪を犯したり自殺を選ぶケースが急増したのだ。
◆いつの間にか、経済活動で自動車以上の必須品となったクレジットカードだが、そこには自動車にはない致命的な欠陥がある。加速ペダルだけあって、ブレーキがないのだ。収入がいいサラリーマンもカードを使い出すと、過消費で決済日が来るたびに後悔することを繰り返す。「ツケでは牛をも食いつぶす」ということわざは、人間の消費心理に的を射た言葉である。クレジットカードは銀行が保障するツケ制度と言える。節制のない消費生活の傾向がある人にとって、クレジットカードは信用不良者を作り出す保証手形だ。普段の生活態度に、クレジットカードのブレーキとなるものを設けなければならない。節制力、計画のある消費、信用に対する責任意識がまさに、そのブレーキに当たる。
◆信用不良者の中の相当数が経済活動を本格的に始めていない大学生だという。固定収入のない学生に、無分別にクレジットカードを発給した会社にも責任がなくはないが、経済生活で信用の重要性について正しく教育しなかった親と社会の責任も少なくない。小額信用不良者に対する政府の信用回復支援措置が、経済活動に伴う責任意識を緩める水準にまで拡大されては困る。ブレーキの利かないクレジットカードはむしろ、はさみで切ってしまった方がよいのだ。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com






