「人生の絶頂期は50代以降だと思う」。04年度1学期大学入学試験随時募集で3つの大学に合格した金ジョンジンさん(64)は昨日、東亜(トンア)日報のインタビューでこう話した(A20面報道)。金さんの大学入学試験の合格証は97年定年退職後、6年間で中学と高校の過程を経て得られた「輝く」成果だ。金さんは退職後、何かをして社会的な評価を受けるという心で勉強を始めたと話した。しかし、彼には他人の評価より個人の成就感がもっと重要だったはずだ。そのためか写真で見た彼の顔は青年のように明るく輝いていた。
◆「サオジョン(45歳停年)」「オリュクド(56歳まで職場に残っていれば月給泥棒)」という言葉がよく聞かれる世相だ。40歳から60歳までを中年期とみたら、中年で引退することは、私たちの周辺ではよく見られる。問題は引退してからだ。ひたすら前に向かって走ってきた多くの韓国の男たちに、自分の人生の後半期に対する計画があるはずがない。「男の後半生」、「中年が幸せになる六つの秘訣」、「搖れる中年、怖くない」、「男の年、40になるということ」、「年を取ることの美徳」など本屋街に整然と並ぶ中・高年の指針書が、むしろ韓国の中年男性の実存的危機を裏付けているのではないか。
◆男は30代中盤を過ぎると、内分泌系統で男性ホルモンが減少し、女性ホルモンの増加する現象が始まる。中年男性が感性的に鋭敏になって女性的な特徴が目立つのはそのためだ。中年になれば人生の意味と本質、欲求に対する強烈な自覚が起きるという学者たちの分析もある。中年は個別的人間が真のアイデンティティを求める「第2の思春期」という言葉だ。精神分析家のC・G・ユングは中年を活気と感性と熱情のある絶頂期という意味で「人生の正午(noon of life)」とも言った。このように「黄金のような」中年期に何を、どうすればいいか分からないまま、時間をむだ使いする男性が多いというのは切ないことだ。
◆引退後の人生は残った人生、すなわち余生ではなく後半生だという言葉がある。人生の周期からすれば下り坂だが、以前とは違う新しい人生が始まると言う事を受け入れなければならないという意味だ。そんな点で、後半生を何らの準備なしに迎えるのは愚かなことだ。それが、金ジョンジン氏の遅い挑戦が美しく見える理由だ。フランスの文豪、ビクトル・ユーゴーは「40歳は青年の老年期で、50歳は老年の春だ」と言った。晩年を幸せに過ごすためには「老年の春」をうまく過ごさなくてはならない。
宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員 songmh@donga.com






