
[Who] 閉じ込められていた男は、いったい誰がなぜそんなに自分のことを憎悪するのかを知るため、これまで犯してきた過ちをつぶさに記録する悪行自叙伝を綴る。そのノートがおよそ14冊。チェ・ミンシクは、実際に悪行自叙伝を書くことになれば「半ページも書けないでしょう」と言って笑う。
「変わった話である上、映画を見ると人生のおさらいをするような気がします。暮らしながら人の心を傷つけたことがあるか、その人は今、自分のことをうらんでいるのでは、などと考えることになるのです。何気なく投げた石で死ぬ蛙の気持ちを理解しようともしてみます」
自分の役回りを説明する際に「主人公は…」ではなく「私(演技)のパートは…」というふうに話す彼の言い方が耳についた。
[What] 彼は「うまく説明できないので残念だが『オールドボーイ』は世の中でもっとも悲しい復讐劇だ」と話した。演技をしながらも「これは強すぎる」という気がするほど、喜怒哀楽の感情を極大化した映画だという。
「でもスタイルリーな復讐劇、目と耳を楽しませる映画です。不条理な状況からでるユーモアもたっぷりあります。演技している途中『あれ(?)、これコメディ映画でしたっけ』と、朴監督に何度も聞いたくらいですから」
脚色の段階から参加して一緒に話し合い「作品」を作り上げていく過程に満足している彼に、この際、監督をやってみたらと聞いたら、とんでもないという反応。
「私は自分のことがよくわかっています。そのようなことをすればたぶん血圧が上がってしまって死ぬかもしれません。私は先天的に一つしか考えられないんですが、監督は何から何まで考えなければならないんじゃないですか。私にはそんなのできっこないんです。」
[Why] 彼は状況の設定だけが似たような同じ名前の原作漫画「オールドボーイ」を見ただけで出演を決めた。シナリオも出ておらず、キャラクターの行動の動機さえ理解できない状態で出演が決められるものかと聞いてみた。
「禿コンプレックスの人が、いたずらでカツラを取った友達を殺害したという記事を読んだことがあります。どれほど恥ずかしかったことでしょうか。人が傷つくことの中ではとてもささやかなものも多いですが、そのような感情を極大化すれば感情移入ができないわけでもないんです。」
「自分のカラーが鮮明な作家」である朴監督に対する信頼も出演を決める決定的な要素となった。
[How] 彼は監房の中で復讐をするため体力を鍛えた後、出所した男になるため、10kgを減量した。後半の撮影が終わると、15年間の監房生活で絶望に陥ったデブ男を演じるため、8月末から2週間、再び10kgを増やさなければならない。
「日に5食をとり、毎日お酒を飲んだりしてみます。再び体を太らさなければならないということを考えると、とても苦しいですね。人間のやることではないでしょう。ところで、体重を減らしたり増やしたりするのはすごく大変なことだと思いがちですが、これはキャラクターの身体条件に近づけるため、職業上やることに過ぎないんです。」
ホームレスのようにぼさぼさとした髪のスタイルは気に入ったか聞くと、首を大きく横に振った。
[When] 今年41歳。彼は今までネクタイ姿で出勤した経験がない。
「私はこれ(演技)を続けなければなりません。というのも学んだ知識がこれしかないし、一瞬として、私がやっていることを軽く考えたことがないんです。10年後も俳優でいつづけたいですね。」
しかし彼は「単に、生計を立てるためだけにあくせく働く俳優にはなりたくありません。そうなる危険が見えてきたら、いさぎよくやめるつもりです。もちろん心残りは大きいでしょうが…」と、断固たる言い方で話す。
「お人よし」と、よく言われる彼だが、「作品が全然駄目なのに誰かのお願いのため」映画に出演したことはただの1度もない。「私の仕事を自ら無視してはいけない。私の意思とは関係ない作品は絶対やらない」というのが、情け深い彼がいかなる場合でも崩さない鉄則だ。
[Where] 映画撮影の現場は退屈な待機と忍耐の空間だ。しかし、彼はそこで喜悦を感じる。
「現場で1、2分のシーンを撮るため、多くの人々が1時間以上自分の仕事をして、すべての準備が完了してからその1瞬のため、皆が息を殺して集中して、とうとう監督が『カット!OK!』と叫ぶ時、その場に集まった人々が一緒に満足するその瞬間、そのときの幸せは言葉では言い切れないものですよね。そのときは『ああ、本当に生きているんだな』という存在感を感じるのです。
金熹暻 susanna@donga.com






