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[オピニオン]ツー・カップス効果

Posted July. 15, 2003 22:25,   

管轄内の業者からカネを巻き上げるのが生業であるベテラン刑事。公式の居住地は薄給の警察公務員らしくみすぼらしいが、実際はおかしな出入り口の後ろに宮殿のようなお屋敷に住んでいる。ところが、警察大学を卒業したばかりの新人をパートナーにしてから、身動きが辛くなる。ことあるたびに頑固に原理原則を掲げては、先輩を苦しめるからだ。10年前にソウルだけでも90万の観客が腹を抱えて笑った映画「ツー・カップス(二人の刑事)」のあらすじだ。警察側の抗議に「実際の警察とは関係ない」というスーパーまで書き入れたが、不幸にも3年後、このブラック・コメディーは事実として立証された。江南(カンナム)警察署の巡査部長が2年間に二店の飲酒店のオーナーから巻き上げたカネが、1億ウォンを超えるというのが検察捜査の結果で明らかになったのだ。

◆1998年にパート3まで製作され幕を閉じた映画「ツー・カップス」が、現実では依然製作中のようだ。警察が飲酒店と切っても切れない関係を維持するのにとどまらず、最近は拉致強盗団の組織員としてまで活躍し、人々を驚かせた。もちろん、大多数の警察は、市民の味方だと信じている。だが、実入りのいい人がよく出入りすることから、不正疑惑が絶えず問題にされる江南地域の警察署に新たな風を吹き入れるために、世の中に染まっていない新任の警察官が配置されるという知らせだ。「ツー・カップス効果」のような内部浄化を期待するというソウル警察庁の関係者の言葉は、この上なく悲壮だ。

◆残念ながら、警察庁の関係者は映画を最後まで見なかったようだ。「ツー・カップス・パート1」で、新人刑事として登場する朴重勳(パク・チュンフン)が、映画が終わるごろにはベテラン刑事以上に堕落した刑事になるのだから。研ぎ澄まされたような新人の正義感と気概はあれこれの「現実」にぶつかって、丸く収まって久しい。「ツー・カップス・パート2」もやはり同じだ。今ではベテラン刑事になった朴の新たなパートナーとなる新人の腐敗もやはり、映画の終わりの部分では大先輩を軽く凌ぐほどにいたる。96年当時拘束された江南署警察官も担当が変わっても、飲酒店のオーナーにつてを当て、作業を続けてきたと言う。

◆幸か不幸か、警察の腐敗と堕落は韓国社会だけの問題ではない。中国では「公安」と呼ばれる警察の不敗が目に余るほどで、ベトナムでは警察が何かの名目で文句をつけるとカネで解決するのが最善だと、韓国企業家は結論を出しているという。南米の警察は犯罪集団と癒着関係にあることでは有名で、メキシコの犯罪被害者5人のうち4人はまったく被害事実を警察に知らせもしない。重要なことは警察官が、担当している仕事を法に従って厳しく執り行っているかどうかだ。いくら人を変えて若い血を投入したとしても法が生ぬるく、現実的に「穴」が存在する限り、数人が順番に私腹を肥やす悪循環が生じるだけだということを警察庁では本当に知らないのか、と聞きたいところだ。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com