Go to contents

人生につまずいた?…それでもドンマイ 「フォンダ氏の偉大な一日」

人生につまずいた?…それでもドンマイ 「フォンダ氏の偉大な一日」

Posted July. 11, 2003 22:07,   

「フォンダ氏の偉大な一日」

アンディ・アンディルース著/李チョンイン訳/272頁/9500ウォン/世宗書籍

「よりによって、なんで私が」

生涯でもっとも困難な状況に処している人ならば、こうした嘆きが頭から離れないだろう。46歳の家長、デイビッド・フォンダ氏もそうだった。

突如の会社の倒産に職を失くしてからもう数カ月。払い延ばしになっている家賃に底をついた通帳の残額。臨時店員として就職したが、幼い娘が早く手術を受けなければならないと電話を受けた最悪の状況で解雇された。職場、金、人生の目標も失った時、彼はなす術もなく、刻々とがんじがらめになる苦痛に悩まされる。

さじを投げるように高速道路を走っていた彼は、車がぶんと宙に浮かんだような気分を感じると同時に意識を失う。生死の分かれ道で目覚めたその瞬間。周りの全てがあまりにも見慣れないものばかり。いったいどこにいるんだろう。

時間と空間を越えて彼が到着したのは1945年7月24日火曜日ドイツのポツダム。そこで会談を準備しているトルーマン大統領が彼を迎えた。そして聞く。なぜ、よりによってあなただけがだめだと思うのかと。

こんな切り出しで始まるこの物語は、人生と仕事における成功の基本原則を小説の枠組み内で展開させた独特な自己開発書だ。たった一日の間に、フォンダ氏が経験する幻想の中の歴史旅行を取り扱った。銃弾が降り注ぐ南北戦争の戦場、アムステルダムのアンネ・フランクの箱部屋、新大陸発見に旅立ったコロンバスの航海など旅行を通じて彼は7人の人物に会い、彼らからそれぞれ一つずつプレゼントをもらう。プレゼントとは、彼が人生を変えることができる7つのメッセージだ。パズルのようにそのメッセージを一つずつ合わせていくと、フォンダ氏は新たな希望と勇気を得る。

この本が一貫している核心のポイントは、「選択」。良かれ悪しかれ、今日のような状況に落ち込んだのは外部の影響ではなく、自分自身が現状に至るまでの道のりを選択したという意味だ。昔から私たちは数多くの選択をし、それが集まって現在の状況を作り出したということを肝に銘じなければならない。だから、「これは私のせいじゃない」という言葉は絶対言ってはいけないのだ。

惨めで厳しい環境の中でも、「アンネ・フランクの日記」を残した少女アンネも次のような言葉を口にする。「パパは、不平はラジオをつけることと同じ、一つの行動なんですって。人はラジオをつけることもできるし、消すこともできるんです。彼と同じように不平を選択することも、不平しないように選択することもできるんです。私たちの人生は選択によって作られるんです」

フォンダ氏が出会ったリンカーン大統領は、許すことの偉大な力を気付かせてくれる。ある人にやられたことに怒りを感じるあまり、悔しくて眠れない経験があったか。大きな怒りを解く簡単な秘訣は許すことだ。人を許すためにはまず、彼らが許される資格があるという考えは捨てなければならない。許しはただで贈るプレゼントのようなものだ。人を許せば、心の中にある怒りと憎悪が消え去り、私たちの魂が自由に解き放たれる。人に贈った許しは私自身のためのプレゼントだ。

コメディアンであり専門作家の著者は、単純な構成、簡単明快な話を通じて人生に疲れ、逆境にいる人々の心を癒す。人生の掛け金は正確にみんな同じだ。しんどくない人生がどこにあろうか。絶望的な状況、厳しい試練の前でも、「ドンマイ」。人生そのものが一つの特恵だという事実を忘れてはいけない。災難と苦難の時期を迎えていたり、いつの間にか人生につまずいたという考えを振り切れない人々に、新たな勇気と希望を伝えるということがこの本の美徳。今年の夏、休暇旅行のパートナーに値する本だ。



mskoh119@donga.com