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[社説]国家行政は有権者まで貸すのか

Posted July. 03, 2003 22:10,   

来年の総選挙を前に、与野党議員27人が「有権者の貸し借り」の内容が盛り込まれた選挙法改正案を国会に提出したことは、議員個人の利益のためには国家の骨組みである行政単位までも崩すという、利己的で無責任極まりない行為だ。今回の改正案に署名した議員たちの地域区の大半が、年末に時限になる選挙区画定で人口下限線を下回らなくなる可能性が高いということから、彼らのもくろみは見えている。近隣地域から足りない有権者を借りてでも自分の地域区を生かして、現役議員のプレミアムを活用して引き続き議員バッジを胸につけるということではないか。

憲法裁判所は01年10月に「投票価値の平等性」のため、選挙区間の人口偏差が最大3.65対1に及ぶ現行の選挙法に事実上違憲である憲法不一致の判決を下し、03年末まで3対1以下に引き下げることにした。選挙区間の人口偏差を3対1にした場合、地域区の最小人口は10万5000〜11万人になるものと予想される。今回の選挙法改正案を出した議員はこれに足りない人数を近隣地域から借りて地域区を生かそうというのだ。憲法裁判所の趣旨も「人口等価性」にあるだけに、地域有権者の一部の調整は別段問題にならないと主張している。

だが、この場合、市郡区を中心とした行政単位が崩壊し、全般的な国政において混乱を招く恐れがある。これを防止するためには、行政区域の再編が求められるが、これは時間的に不可能だ。これら議員らはまた、地域区維持の名分として国会議員の「地域代表制」を掲げている。だが、近隣地域の有権者を変えてまで地域区を維持した時、はたしてどの地域を代表していると言えるのか疑問だ。

今回の選挙法改正案は、このように常識や原則に合わない典型的な「ゲリマンダリング(選挙区を多数党に有利な区割りをすること)法案」だ。よって、改正案の提出は撤回されてしかるべきだ。「議員の貸し借り」に続いて、「有権者の貸し借り」までするようではいけない。今こそ与野党が取り組むべき急務は、選挙区の画定に必要な選挙区制度と議員定数を確定することだ。そうしてこそ、年末までという時限に合わせることができる。