米国の国家機密情報を祖国に提供した疑いで逮捕され、スパイの罪で米国連邦刑務所で7年間服役中のロバート・キム(韓国名:キム・チェゴン、63)氏。懲役9年を言い渡された後、模範的な受刑生活で15%の減刑となり、来年7月出所する予定だという。ところが、住居および活動が制限される保護観察3年刑も宣告されているため、出所しても3年間は居住地の近くに留まらなければならない。今のところ、氏が一日も早く祖国に帰るためには、残る刑期と保護観察刑に対する米国政府の恩赦のほかに道はない。しかしながら、依然として希望は見えていない。
◆ロバート・キム事件は、ユダヤ系米国人のジョナサン・ポラード事件とよく比較される。キム氏と同じ米海軍情報局(ONI)に務めていたポラード氏は、米国の軍事衛星が撮影した中東地域の軍事施設の写真など、1000件あまりの軍事秘密を、駐米イスラエル大使館の武官に提供していたことが認められ、無期懲役の刑を言い渡された。ポラード氏が刑務所にいる間、イスラエル政府とユダヤ系米国人団体は、氏への釈放のための努力を一度も怠たらなかった。歴代のイスラエル首相は米国を訪れ、首脳会談のたびにポラード氏の恩赦を求めた。こうした努力が実り、2001年2月、ポラード氏は当時のクリントン大統領の恩赦で、自由の身となった。
◆これに比べると、ロバート・キムの釈放に向けた韓国政府の外交努力は、皆無に近いといっても過言ではない。米国に「ロバート・キム氏の米州後援会」、国内には「ロバート・キム釈放委員会」がそれぞれ活動しているほか、一部の国会議員たちが、釈放決議案を国会に提出しているものの、韓国政府は依然として見向きもしない。韓米首脳会談の席上はもちろんのこと、大統領を随行した要人たちも、この問題に触れたという記録は見当たらない。キム氏は、今年の初めにも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領に宛てて、自らの恩赦に力を貸してくれるよう嘆願書を送っている。
◆当時、キム氏から秘密資料を渡されたぺク・ドンイル元駐米海軍武官が、氏との出会いと資料受け渡しの過程などを初めて「新東亜」5月号の中で公開し、注目を集めている。「韓国の対北朝鮮諜報環境がそれほど劣悪なのか。ならば、手伝いましょう」と、祖国のために必死だったキム氏の情熱が、生々しく綴られている。ぺク氏は「キム先生は、祖国に対する純粋な愛国心一つで私を手助けしたばかりに、予期せぬ被害に遭った」として、「盧大統領が、今月開かれるブッシュ大統領との韓米首脳会談で、ぜひとも氏の恩赦を頼んでほしい」と、ねんごろに注文した。キム氏は、釈放されれば韓国に戻り、恵まれない青少年のための施設や学校を設立する計画だという。その夢が一日も早く叶えられるようにするのは、キム氏の「祖国愛」に対する私たちのせめてもの報いであろう。
宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com






