全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の財産明示をめぐる審理裁判が28日、ソウル地方裁判所西部支院で、民事26単独で辛宇鎭(シン・ウジン)判事の審理により開かれた。
同日の裁判は、韓国社会の最高元老の1人として挙げられる前職大統領の道徳性と、良心の実状が如実に明らかになる裁判だったことだけあって、少なからぬ話題を呼んでいる。
検察は1997年4月、全元大統領に対し追徴金2204億ウォンを確定したが、314億ウォンしか追徴できなかったことを受け、今年2月、全元大統領に財産リストの提出を命令するようにと、裁判所に財産明示申請を出した。
全元大統領は、同日午前11時42分ごろ、李亮雨(イ・ヤンウ)弁護士と一緒にボディーガードの警護の中、法廷に出頭した。同日の裁判は開始直後から、全元大統領が提出した財産リストが最大の争点となって、判事と全元大統領側が激しく口論する場面もあった。
辛判事は、全元大統領側が提出した財産リストに目を通し、「全氏の財産リストには、本人名義の現金が一銭もなく、預金と債権を合わせて29万1000ウォンとなっているが、ゴルフや海外旅行がどうしてできるのか」と追求した。声は落ち着いていたものの、口調からは腑に落ちないという雰囲気がにじみ出ていた。
これについて、全元大統領は、「ゴルフ協会で前職大統領にはグリーンフィーを無料にしてくれている。私の年が72歳だ。これまで縁のあった人をはじめ、側近や子どもたちの助けで暮らしている」と立ったまま、比較的はっきりした口調で答えた。全元大統領ならではの堂々とした声だった。
▲辛判事〓「周りの人が追徴金を出すお金はくれたのではないですか」。落ち着いた声だったが、聞く方としては非難に感じられる口調だった。
▲全元大統領〓「やっと生計を立てているので、追徴金を納めるお金はありませんでした。政治資金として受け取ったお金で包括的収賄罪を適用して(追徴金を課せられて)悔しいです」。全くためらいのない声。
▲辛判事〓「追徴金の執行に協調したのは(追徴金を)認めたためではないですか。一般人の場合、自分が直接お金を稼いだり、借りてでも納めるのが追徴金です」。全元大統領は沈黙を守ったが、無表情な顔だった。
この過程で全元大統領側のイ弁護士が、裁判の進行について大きな声で強い不満を示した。
彼は、「債務者が率直に財産リストを提出したにもかかわらず、不足していると判断している根拠は何か。今回の裁判は、財産リストを審理する場であって、債務返済とかかわっている周辺事実を突き詰める場ではない」と抗弁した。
しかし、辛判事は、「検察が推定している財産が2157億ウォンで、このうち全氏が使った費用を除いても、1600億ウォンぐらいが残るが、このお金を使い果たしたのか」と聞き、全元大統領は「検察に確認してみなさい。全部使っている」と反論した。
辛判事は、「全氏はこの前も人の名義を借りた口座を作って摘発されたことがあり、検察捜査でもたくさんの無記名債権が発見された。追徴金の執行が15%しか行われておらず、1600億ウォンの使い道を明らかにすべきであり、名義信託した財産がないと判断するのは難しい」と説明した。
辛判事は同日の審理を終えて、「財産隠匿の危険性と可能性が高い」と述べて、有価証券や不動産など第3者に名義信託した財産リストや、名義信託の時期をはじめ、配偶者や直系家族、兄弟など、親戚・姻戚の財産リストを来月26日提出することを命令した。
孫曉林 aryssong@donga.com






