与党民主党の鄭大哲(チョン・デチョル)代表が3日前、公州(コンジュ)市長補欠選挙の支援遊説で「新行政首都の予定地に、忠清南道(チュンチョンナムド)公州が決まる可能性が高い」とした発言は、行政首都の移転問題が、どのように政治的に悪用されるかを露骨に見せてくれた。与党代表が自党候補の票を得るために行政首都を売った形だが、問題は来年4月に行われる総選挙でも、こうしたことが忠清道のあちこちで繰り返される可能性があるという点だ。
すでに忠清道選挙区の与野党議員たちは行政首都の移転問題が、来年の総選挙での当落を握る絶対的要素になるとみて、触覚を逆立てている。去年の大統領選挙の際、行政首都の移転に反対していたハンナラ党の忠清道出身議員たちも、候補地選定に敏感な反応を示しており、ややもすると与野党が競って出身地域に行政首都を建設すると言い出しそうだ。そうなれば、候補地に取りざたされている地域ごとに、不動産投機が加熱することは火を見るより明らかで、将来、立地選定から脱落した地域の後遺症は大きいはずだ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は去年の大統領選挙で「政権1年以内(04年2月まで)」に立地を選定すると公約した。しかし政権与党は立地選定の期限をそれとなく来年下半期に延ばした。行政首都を総選挙のカードで使おうとしているのではないかと疑われるのは、そのためである。混乱を防ぐためには、できるだけ早期に立地選定をしなければならない。来年の総選挙前までに決めなければ、行政首都問題が政略的に悪用されることを防ぐことはできない。
行政首都の移転問題はまだ国民的合意が形成されていない事案だ。盧大統領が国民投票で、移転の可否を決めると述べただけに、大統領選挙の結果をもって国民的合意と見做すのは困る。行政首都の移転がはたして首都圏の過密現象を解消できる対策になり得るのか、天文学的な移転費用をどう調逹するつもりなのかに関する議論もまとまっていない。
そういう中にあって、与党代表はこの問題を選挙に利用しはじめた。このまま行くと、来年の総選挙までに行政首都の候補地が一体何ヵ所になることか、分かったものではない。






