永生を夢見た中国の秦始皇は、生老病死の苦しみから逃れられる不老草を探して、世をさまよった。しかし、彼の欲望は夢に終わった。老いて病んで死ぬというメカニズムは、人間の能力では分からない不可侵の領域であった。まして生命を作り作動させることは、神の領域と見なされた。1953年に、ジェイムズ・ワトソンとフランシス・クリックが、人間の遺伝情報を含んだデオキシリボ核酸(DNA)構造を発見した時、人間が生命に関するすべての情報が分かるようになると信じた者は誰もいなかった。
◆国際ヒトゲノムプロジェクトに参加した科学者たちが、14日、ヒトゲノム地図を100%完成させたと発表した。人間ゲノムは31億2000万組のDNA分子からなり、4万個に近い遺伝子が入っている。つまりゲノム地図は人間の生命に関するすべての秘密を盛り込んだ百科事典であるといえる。今や暗号で覆われた生命の設計図を手に入れたのだから、一つずつ解読していく過程だけが残ったわけだ。今後約20年かかるとされる解読作業が終われば、人間は自分の生老病死について、すべてを知るかもしれない。
◆ゲノム地図をすべて解読すれば、その影響は計り知れないほど莫大である。例えば、生まれて1年内で死亡する「先天性兔疫不全症」は遺伝子の欠損症のせいだが、このような遺伝病治療が画期的な転機を迎えることになる。ガン、痴呆、糖尿病などの難病も、それに関わる遺伝子を突き止めれば、治療法を開発できると期待される。各種たんぱく質の形成に関与する遺伝子を利用して、特定の病気の治療に効果があるたんぱく質を生産することもできる。さらに老化に関わる遺伝子を突き止めれば、人間が永遠に老けないようにする薬を作り出せるかもしれない。
◆しかしゲノム地図の解読で、人間にバラ色の未来だけが保障されるのではない。個人の遺伝情報が商業的に利用されれば、いろいろな副作用が生じる恐れがある。実際に米国では、遺伝的に肝臓がんにかかる確率が高いという理由で、保険加入を拒否された例がある。このようになれば、遺伝情報の優劣を分ける第2の人種差別が生じる恐れがあるという懸念も少なくない。金髪や二重まぶたなど、子供の遺伝子を事前に選択することも起こり得る。なによりも、人間が200歳まで生きるなら、それが果たして望ましいことなのかという神学的な問いかけが残る。人間ゲノムプロジェクトに参加したある科学者はこのように問う。「自分の種を再設計できる時代が来れば、人間は自分の運命の終着地に到達したのではないのか」
金尚永(キム・サンヨン)論説委員youngkim@donga.com






