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[オピニオン]ブロードウェイのミュージカル

[オピニオン]ブロードウェイのミュージカル

Posted March. 11, 2003 22:06,   

俳優5.3ドル、舞台担当6.9ドル、広告11.2ドル。これは、米ニューヨークのブロードウェーで公演中のミュージカル「ママ・ミア」のロイヤル席のチケットの値段100ドルを分野別に配分した金額だ。鮮やかな踊りと歌をプレゼントする俳優たちより、舞台をスペクタクルに動かす技術者の方がたくさん儲ける。世界の観光客らを魅了させなければならないため、広告にもかなりお金を使う。大衆の好みに合う芸術と幻想的テクノロジー、そしてマーケティングの出会いという、最も米国の文化商品らしい収入配分だ。これに比べて少ない金額をもらうのが、伴奏を引き受けたオーケストラの演奏者たちで、たったの2ドル程度だ。一番多額をもらうのは、作家でも演出家でもない製作投資者だ。ニューヨーク・タイムズによると、彼らは24.75ドルをもらう。

◆ニューヨークが誇るブロードウェイが、いま真っ暗だ。「ママ・ミア」はもちろん、「ライオン・キング」「オペラ座の幽霊」など、大型ミュージカル18本のうち、「キャバレー」を除いて、7日から劇場を閉めてしまった。直接的な原因は、製作者側が進んでいるコンピューター音楽を活かして、オーケストラ演奏者たちの数を現在の半分に減らそうとしたことにある。オーケストラ組合がカッとなって集団ストを宣言しており、それに俳優組合と舞台組合も同業者意識を発揮した。一言でいえば、金の争いだ。

◆しかし、製作者も演奏者も決して「金」という露骨できまり悪い言葉は取り上げない。芸術家であることを自負する演奏者側は「これは芸術に対する侵害の問題」であることを強調し、製作者側は「必ず一定の演奏者を使わなければならないという規定は製作者の創意性に対する挑戦だ」と主張する。仲裁に出て失敗したマイケル・ブルームバーグニューヨーク市長や市民たちの心配も、結局経済に集中する。ミュージカルは1年におよそ40億ドルを稼ぐ観光商品だからだ。レストラン、ホテル、タクシーまでも、影響を受ける。ストが週末まで続く場合、推定損失額は少なくとも5000万ドルだ。

◆ブロードウェーのストは、コンピューターとテクノロジーに押される芸術と人間を象徴しており、ことは簡単ではない。製作者の言葉どおり、コンピューター音楽が生音楽に劣らない音を出すのは間違いない。世の中が変わったにもかかわらず、現場の音楽を固守しなければならないという演奏者たちの固執は、産業革命初期の機械を打ち壊したラッダイト運動を連想させる。メトロポリタン・オペラのオーケストラを機械音に変えようとは誰も主張しないように、演奏者たちも高次元の芸術性で武装するしか道はない。これからは、どこからも追い出されないためには、自分ならではの「ヒューマンタッチ」を持てる分野を探さなければならないようだ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com