交際を始めて9か月目の李ジョンデさんと金ジョムスクさん。デートから早く帰った日は、いま別れたばかりなのにまた会いたくなり、夜中まで電話をする。些細な誤解で口論してもすぐに仲直りしたり、家族には内緒で2人きりで旅行に行くのも普通の若いカップルと同じだ。違う点と言えば、2人の歳(李さんは68歳、金さんは56歳)と、内緒にする対象が親ではなく、息子や娘ということ。2人は先日KBSテレビで放映された『人間劇場−プロポーズ』の主人公だ。老人の性を描いた韓国映画『死んでもいい(英題、Too young to die)』はその描写が少し露骨で、上映を許可するかどうかをめぐって議論もあった。70代老夫婦の交わす愛は、どんな若者のそれより堂々として温かい。
◆若い世代は、性や愛は自分たちの占有物だと思っている。しかし、「結婚と家族−親密さを求めて」を書いた米国のUSインターナショナル大学のロバート・ロア教授は、愛と関連したあらゆる感情は年齢と関係なく何度も経験できるということを学問的に立証した。白髪が増えたり、髪の毛が薄くなったりしても、ドキドキする思いや熱い感情、また嫉妬したり拗ねたり。相手のささいな態度にも天国と地獄を行き来するのは、思春期とまったく同じだという。「子どもに戻ったようだ。まだこんな感情を持てるということが信じられない」というのが、ロア教授が紹介する経験者らの反応だ。小説『情は老いもしない』のように、情は老いたりしない。性もまたそうだ。
◆67歳の世界的テノール、ルチアーノ・パバロッティに13日、4人目の女の子が誕生し、「同じ年齢」の多くの男性を驚かせた。パバロッティの元秘書だった妻はパバロッティより34歳年下だ。米国では歳の差が大きいカップルが一緒になることを「5月と12月の結婚(May-December Marriage)」と言う。特に年齢相応の成功を成し遂げた年配の男性と美しくて若い女性の再婚は、互いの要求にもぴったり一致し、失敗する確率も低いというのが通説だ。偶然にもこの日、透明で優しい声の持ち主のギリシャ人の歌姫ナナ・ムスクーリも長い間つきあっていた男性と再婚した。66歳のムスクーリも「愛の歓び(Plaisir D’Amour)」を歌っているだろうか。
◆『人間劇場』や『死んでもいい』を見た人の多くは、老人の愛も美しいと思ったと話した。ただし、愛さえあれば何でも乗り越えられると考える若い世代とは違って、老人、特に年配の男性の愛には条件が必要となる。健康と金だ。『死んでもいい』の主人公のように「男の子を産んでほしい」と言えるほどの体力がないと、あるいは、パバロッティほどではなくても経済的能力がないと、愛を成就するのは難しい。一方、女性の場合は(?)。ムスクーリぐらいの魅力がないといけないとでも言っておこうか。
金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com






