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[オピニオン]陶山書院のエンジュの木

Posted November. 22, 2002 22:54,   

エンジュの木は主に、古宮や書院、寺、文廟(ブンビョ)、古屋敷などで見られる。咲き乱れた乳白色の花と、花が落ちてできる数珠の玉のような実、さらにすっと伸びた枝が、気品と気概を感じさせる。そのためか昔の人々は、この木を植えれば学者が誕生すると信じていた。昔、試験に合格したり出世した後や、官職から退く時に、記念に必ずエンジュの木を植えたという。学問を講じた所には、決まってこの木が植えられた。エンジュの木は「学者樹」とも呼ばれ、英語で「Chinese scholar tree」と書かれるのも、まさにこのためである。

◆韓国のいたる所に散在しているエンジュの木は、樹齢がふつう何百年も経っており、そのうちの相当数が天然記念物である。それほど由緒深く、まつわる話もさまざまである。忠清南道瑞山(チュンチョンナムド、ソサン)の海美邑城(ヘミウプソン)にある樹齢600年のエンジュの木は、大院君(デウォングン)の天主教弾圧の時に、拘束された人々がここで殉教した。それで今も「絞首木」と呼ばれている。先日、慶尚北道浦項(キョンサンプクト、ポハン)の迎日(ヨンイル)民俗博物館は、前庭にある樹齢600年のエンジュの木が枯れていくため、周りに溝を掘って、マッコルリ(どぶろく)約400リットルを入れた。枯れ木を生かす栄養成長剤として、マッコルリほどよく効くものはないという。エンジュの木の枝、樹皮、花、実などは、薬用としても良く、漢方薬商に人気がある。

◆慶尚北道安東(アンドン)の陶山(トサン)書院内にある樹齢400年のエンジュが切り倒され、大きな幹だけを残している。昨年の春から患い、今年夏にとうとう回生不可能との判定を受けた。この木は、韓国の千ウォン札の主人公でもあるため、まことに名残り惜しい。紙幣の裏面にある陶山書院の絵の左側後ろに茂っているのがこのエンジュの木である。600年を超えるエンジュの木も健在なのに、樹齢400年がこのように死んでしまうとは、管理に手落ちがなかったのか、残念でならない。

◆陶山書院は、死んだエンジュの木の幹をそのままにして、ノウゼンカズラのつるを植えるなど、周辺を飾る計画であるというが、自然らしさは失われる。また、チョウセンヒメツゲや、キンセンなど、他の古木に対する緊急治療作戦に入ったが、泥縄の感は否めない。あるべきものがその場所にない時ほど、寂しいものはない。もはやエンジュの木は、そこにはない。由緒深い「学者の木」の終末が、まるでこの国の暗い教育現実を映しているようで、心が重くなる。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com