米国領土内の安保のかなめとなる「マンモス級」の政府組織が、冷戦後初めて発足することになった。米国の上院は19日、ブッシュ大統領が同時多発テロ以来推進してきた国土安保省設置法案を賛成90、反対9の圧倒的多数で可決した。
▲法案可決とその意味〓票決後、共和党のフィル・グラム上院議員は「米国の安保と米国人の安全の勝利」と述べた。ブッシュ大統領は同日、北大西洋条約機構(NATO)会議出席のためチェコ・プラハに向う途中、可決の知らせを聞き、「米国の立法史の里程表となるだろう」と述べた。
米紙ニューヨーク・タイムズは「国土安保省は、1947年にトルーマン政権と米議会が、冷戦に対応するために国家安全保障法によって国防総省を設置して以来、初めて作られる大規模な政府組織だ」と19日報じた。
当初、国土安保省のような官庁が必要だといち早く提案していた民主党のジョセフ・リバーマン上院議員は、「同時多発テロ以後、米国の安保のかなめとなる組織が不安定だという懸念が提起されたが、今回の法案可決で、これを払しょくすることができる」と述べた。
▲国土安保省の任務〓ブッシュ大統領が来週中に法案に最終署名してから60日以内に国土安保省が創設される。完成には1年ほどかかる模様。
国土安保省は、職員17万人体制と年間380億ドルの天文学的な予算で、沿岸警備隊をはじめ、財務省、警護室(SS)、移民帰化局、税関など22の連邦機関を、全部または部分的に吸収する。国防総省に次いで2番目に大きな規模となる。
主な業務は、情報分析、国境警備、輸送の安全、原子力発電所などの基幹施設の維持などだ。しかし、連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)は、独立した情報機関として残ることになる。初代長官には、ホワイトハウスに設置された国土安全保障局のトム・リッジ長官がすでに内定している。
▲私生活監視の憂慮〓国土安保省は、米国人へのテロ危機に対応するために設置されるのだが、全国民監視体制を作ることで、「ジョージ・オーエル式」の住民統制をする恐れがあると、ニューヨーク・タイムズが伝えた。
関連法によると、国防総省が推進中の「中央集中データベースシステム」は、個々の市民のクレジット・カードの使用内容、診療記録、新聞雑誌定期購読状況、ウェブサイト訪問記録、電子メール、銀行口座、旅行予約、行事参加など、生活全般が把握できるという。また国土安保省法は、アメリカオンラインのようなインターネット事業者らが政府に加入者関連情報を提供できるように規定していることから、警察にインターネット検閲権を許容していると、同紙は懸念している。
權基太 kkt@donga.com






