世界で最も小さいバイオリンの大きさを想像してみよう。米国コーネル大学の研究チームが作ったもので、長さは0.01ミリ、赤血球細胞の直径に近い。それでは、このバイオリンの弦の太さはどの位だろうか。それぞれ50nm(ナノメーター)。ここで言う1nmは、10億分の1mで、髪の毛のおよそ10万分の1の太さに値する。1センチ(100分の1m)、1ミリ(1000分の1m)、1μm(マイクロメーター・100万分の1m)よりも小さい。1μmの1000分の1の大きさである。ブリタニカ百科事典全体の内容を、くぎの頭の大きさの中に書き込むためには、文字をここまで小さくする必要がある。
◆古代のギリシャ語で「ナノス」というのは、小人を意味する。ここから由来したナノ(nano)という言葉は、人間が想像し難いほど小さな世界を象徴する言葉となった。ナノ技術が発達すれば、炭を分解してダイヤモンドを造ることもできる。ダイヤモンドは炭素の結晶からできているが、炭も炭素であることから、炭の元子をダイヤモンドのように配列すると、人工のダイヤモンドになるというのだ。ナノ技術が情報技術に適用されると、腕時計大のスーパーコンピューターの開発が可能になり、医学分野ではがんとエイズなど、不治病の治療が可能になるだろうと予見されている。ところが、一歩誤まると、原子爆弾の製造技術のように、人類の存在そのものを否定する「悪魔の技術」になりかねないと警告する人たちもいる。
◆科学者たちは、20世紀をマイクロの時代とすると、21世紀はナノ技術の時代になるだろうとしている。ナノ技術は、未来の産業革命のけん引役となるだろう。先進諸国がナノ技術を戦略的に育成しようと力を入れている理由もここにある。米国は、ナノ技術開発戦略を通じて、2001年から毎年4億ドル以上の研究予算を投じている。日本も今後5年間、ナノ研究に24兆円を投資する計画を進めている。ヨーロッパとドイツはもとより、中国、オーストラリアでもナノブームが吹き荒れている。なぜだろうか。軽量化、少量化、そして大容量化を実現するためには、ナノ技術が欠かせないからだ。
◆国内でも、世界レベルのナノ技術の研究結果が出ている。浦項(ポハン)工大のキム・グァンス教授チームは、世界一細い直径0.4ミリの金属線を作り出した一方、他の大学ではナノ級粒子の製造に成功している。このほど、三星電子が90ナノ工程技術に成功したと発表した。
最近開発された512メガDRAM半導体回路の線幅が120nmであることから、90ナノ技術はこれよりさらに進んだ技術ということになる。高性能コンピューターの製作に一歩近づいたとでも言えるだろうか。しかしながらこれは、これから展開される本格的なナノ時代の幕開けに過ぎない。
朴永均 (パク・ヨンギュン)論説委員 parkyk@donga.com






