
「追う者」と「追われる者」
確かに後ろが気になる「追われる者」の方が不利だ。しかし、届きそうで届かない「追う者」もやはりいらいらする気持ちは一緒だ。
薄氷の差で1、2位を維持しているプロ野球の起亜(キア)と三星(サムスン)の競争が、まさにこの構図だ。起亜は、65勝42敗4分け(勝率0.607)で1位、三星は64勝43敗4分け(勝率0.598)で2位に立っている。両チームともに111試合をこなしたところでのゲーム差はわずか1試合。
しかし、このわずかな差を縮めるのがなかなか容易でない。三星が勝てば起亜も勝ち、起亜が負けると三星も負ける。起亜の金城漢(キム・ソンハン)監督や三星の金応龍(キム・ウンヨン)監督も、相手チームの試合結果を見て毎日、一喜一憂している。
6月9日以降、96日間、一度も首位を譲らなかった「長期政権」の起亜を支えているのは、何といってもチームの平均自責で2位タイ(3.89)をマークしているマウンドだ。15勝で最多勝2位タイのキーパーと抑えから先発に変身し5連勝を挙げているリオスの「外国人選手デュオ」がマウンドに鉄壁のように立ちはだかっている。これに新人王候補の金ジンウが加わり、なかなか連敗を許さない。
もちろん、起亜にも危機はあった。エースの役割を果たしていた崔(チェ)サンドクが、シーズン中盤に肩を故障し2軍に降りたとき、投手力に空白が生じた。このとき金監督が切ったカードが抑えのリオスの先発転換だった。リオスは、先発に変身したあと、6試合で5勝無敗の大活躍で危機のチームを救った。これに鼓舞された金城漢監督は、「ポストシーズンでもリオスを継続して先発で起用する」として「秘蔵の切り札」で使う考えを固めた。
首位の起亜を猛烈な勢いで追い上げている三星も、12日の試合ではいら立ちを隠せなかった。金応龍監督は蚕室(チャムシル)でのLG戦で、3—3同点の5回、先発の林昌勇(イム・チャンヨン)を抑えで登板させる型破りな作戦で、とうとう勝利をものにした。金監督のペナントレース優勝に向けた強い意欲がうかがえる。
両チームの対戦は釜山(プサン)アジア大会が終わったあと、光州(クァンジュ)で2試合、大邱(テグ)で3試合など計5試合が予定されており、最後の王者を分けるヤマ場になりそうだ。両チームの勝率が同率になった場合は、相手チームとの戦績で上回るチームが優勝を勝ち取ることになる。
現在、三星が8勝6敗で優勢だが、もし相手チームとの戦績でも勝負がつかなければ、得点差で勝負を分ける。
金相洙 ssoo@donga.com






