
9日、セントルイス・カージナルスのホーム球場、ブッシュ・スタジアムのスタンドが真っ赤に染まった。韓国サッカー代表の試合が行われるときに競技場のスタンドを「レッドデビル」たちが埋め尽くしたように、ブッシュスタジアムはカージナルス戦のときは決まって伝統色の赤いシャツを着たファンたちでいっぱいになる。
「米大リーグ初の韓国人打者」、崔煕燮(チェ・ヒソブ、23、シカゴ・カブス)が米プロ野球大リーグに進出する直前の98年、カージナルスのマーク・マグワイアーが記録的な70本塁打を放ったその球場だ。
崔煕燮は、この日、同スタジアムでメジャー入り初の先発出場のチャンスをつかんだ。フレッド・マグリフの代わりに5番ファーストでスターティングラインアップに入ったのだ。
2回に初打席が回ってきた。無死1塁。ライトへ大きなファールを打ったあと肩に力が入ったためか、その後、崔煕燮は2塁前の併殺打で得点チャンスを台なしにしてしまった。4回も平凡な邀撃守前ゴロ。
0−2でリードされた7回の2死。塁に走者がない状況で、3回目の打席に立つ前に、ライバルであり先輩でもあるマグリフが一言アドバイスをしてくれた。「とにかく初球を狙え」。
無失点で好投していたカージナルスの先発投手、シモンタッチの初球が入ってきた。球速148kmの打席寄りの直球だった。「獲物」を狙っていた崔煕燮のバットが思い切り回り、「カチーン」という軽快な打球音とともにボールはライトへ飛んでいった。暫らく打球を追っていた崔煕燮の口元に笑みがこぼれた。
飛距離132mの大型のソロー塁打。メジャーに上がって7打席目にして放った初安打が本塁打となった。韓国人選手が大リーグで本塁打を打ったのは、朴賛浩(パク・チャンホ、テキサス・レンジャース)投手が2000年にLAドジャース選手として2本を放ったのに次いで3度目だ。
朴賛浩は2000年3月2日、アリゾナのスコットデイル・スタジアムで行われたサンフランシスコ・ジャイアンツ戦の初打席に代打で出て、初球を打ったのが本塁打となり、強烈な印象を残した。人々を驚かせるのには才能があるようだ。
悠々とダイヤモンドを回った崔浩燮は、ホームを踏んだあとチームの同僚サミー・ソサがよくやるように、左こぶしに口付けしたあと空に向けて人差し指を指す本塁打セレモニーで、自分の初本塁打を祝った。マイナーリーグのトリプルA選手時代にたまに見せてくれたパフォーマンスだ。崔浩燮は、「グラウンドを回りながら『これで始まるわけだな』という気がした」と話した。
この日の試合でカブスは1−3で負けたものの、有望株の崔浩燮が無限の潜在能力を見せつけたのは大きな収穫だった。カブスのブルースキム監督代行も「攻撃と守備のいずれも満足できた」と話した。
4試合で7打数1安打(0・143)、1本塁打1打点となった崔浩燮は、10日から高麗(コリョ)大学の先輩、金善宇(キム・ソンウ)選手が所属しているモントリオール・エクスポズとの3連戦を戦う予定で、メジャー初の韓国人同士がマウンドと打席でぶつかることが予想される。
金相洙 ssoo@donga.com






