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[オピニオン]奴婢文書

Posted July. 30, 2002 23:28,   

米国のメジャーリーグに、選手の権益保護のためのフリーエージェント(FA)制度が導入されたのは、わずか20年あまり前のことだ。それまでは、プロ野球は独占禁止法の対象ではなかったため、選手は一度球団と契約すれば、引退しない限りそのチームを離れることができなかった。10年間の訴訟のあげく、選手が他の球団と契約できるFA制度を勝ち取ったのが1980年というから、メジャーリーグができてから一世紀以上たってからのことである。人権問題に関する限り、世界一と自負する米国であるが、選手が球団オーナーの足かせから自由になることはこうも大変なことだった。

▲韓国のプロ野球も大差はない。主人公となるべき選手たちは、事実上球団の操り人形の立場からは抜け出せない。2年前に選手たちが、米国や日本のように労組を作ろうとしたが、球団は「いっそのことプロ野球をなくす」と脅した。結局、労組ではなく選手協議会と名を変えて発足させたものの、ここに加入した選手は、球団から目をかけてもらえず、つらい立場に立たされた。金炳賢(キム・ビョンヒョン)をはじめ米国で活躍する選手は、白い目で見られる。彼らは戻っても、5年間国内チームで出場できない。その理由が、国内のプロ野球を助けずに、外国チームに行ったためというから、まさに球団の利己主義の極みと言えよう。

▲選手は現行の規約集や契約書を「奴婢(ノビ)文書」と呼ぶ。奴婢文書は、伝統社会で主人が男女の身分を記して売買したり、相続、贈与できるようにした証書である。ファンの人気を独り占めし、一年に数億ウォンを稼ぐプロ野球選手たちが、自分を奴婢にたとえるのはひどいという指摘もある。しかし考えてみると、いったん一球団に指名されれば、嫌でも2年間は離れることができず、年俸交渉が決裂すれば、一方的に被害を受け、最悪の場合は失業者になる覚悟までしなければならない選手の立場では「現代版奴婢」も同然と思えるのだろう。

▲公正取引委員会(公正委)が、一昨日、国内プロスポーツ種目の不公正規約に対して、是正命令と警告措置を下した。公正委の決定が、選手の権益保護に役立ってほしい。これはスポーツだけではない。専属プロダクションに縛られて、あらゆる不利益を強いられている芸能人も、選手の立場と違いはない。その程度ならまだましである。搾取される売春女性、人権死角地帯の外国人労働者・・・。現代版奴婢文書の犠牲者は、韓国社会の所々にいる。彼らの人権を回復させるのはだれの役目か。



bbchoi@donga.com