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[オピニオン]男と女

Posted July. 24, 2002 23:16,   

もはや男女平等や男女同等という言葉そのものが、時代遅れと見なされる雰囲気だ。男性も、実際にそう信じて行動しようがしまいが、「男女有別」と主張すれば、旧時代的だとか、反フェミニスト、さらには反民主主義者に追いやられるため、気楽な場所でなければ口に出さないようにしている。能力だけでなく、成就欲、支配欲、ひいては性欲に至るまで、男女の違いはほとんどないというのが、フェミニストが強調してきた「政治的に正しい」談論であった。

◆しかし、実際に直面する現実は、必ずしもそうではない。例えば、数学や理科は、男子学生の方がよくでき、これらの科目で行ける大学の学科や職業にも男性が多い。これに対して、フェミニストらは「数学や理科がよくできると『女らしくない』と言われるので、女性が勉強できなかった」と、社会的偏見や抑圧を理由に挙げた。女性を抑圧する社会的ムードが消えれば、すべての分野で男女が同等に参画し、享受できる世の中になるというのだ。

◆しかし、近頃頭脳研究などによって、次々に明るみになる社会生物学的知識は、このような「希望」とは少し距離がある。大半の男性がエンジニア、コンピューター関連の職種、建築家、会計士など、学生時代に数学や理科ができてこそなれる分野に頭角をあらわすのは、右脳の空間知能が秀でているためだ。一方、女性は左脳の言語能力がより発達し、右脳と左脳の脳粱(のうりょう)という神経繊維束もうまくつながっている。行動後の動機や意味を把握する知覚能力や直観に優れ、「なんだか」「なんとなく」と言いながらも正確に当てるのはこのためだ。最近、米国ニューヨークのストニー・ブルック州立大学の研究チームが「女性の脳は、感情を認知し記憶する部分が男性よりうまく組織されていて、ささいな夫婦げんかも長く記憶する」と発表したのも、このような男女の「違い」を再確認したことになる。

◆男と女は異なる。同じ能力、同じ欲求、同じ情緒を持っていないということを、科学は証明してくれている。だからといって、どちらか一方の性が、もう一方より優れているとか劣っているということではない。ただ違うというだけだ。男女差別ではなく、このような違いをあるがままに認めれば、双方とも心が楽になって、互いにもっとうまくやれる分野に取り組むことで、よりよい人生も送れるようになる。しかし、ひとつ忘れてはならないことがある。男女の相違より、個人差がより重要だということだ。私たち一人ひとりが、みな宇宙ほど大きな意味を持っているのだから。



yuri@donga.com