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[社説]薬がないといって患者を放っておく国

[社説]薬がないといって患者を放っておく国

Posted November. 28, 2001 09:53,   

保険政策の基本は国民の健康を守ることにある。病んでいる人が病院に行き治療を受け薬を飲むのは、国民ならば誰にでも与えられるべき権利だ。それにもかかわらず、慢性重症結核の患者が服用しなければならない薬が製薬会社の事実上の倒産によって生産が中断された後1カ月が過ぎるまで保健当局が放置したままだったというから、その「無責任な行政」に驚くばかりだ。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に結核ワクチンの全量を送ってしまったため、全国の保健所が3日連続のワクチン切れの状態になっていたという話が出たのが今月初めのことだった。これだから北朝鮮には与える一方で国民の健康には無関心だという批判が爆発するのだ。

生産が中断された「パス」は慢性重症の結核患者にだけ投与される薬だ。結核の初期治療に失敗した患者に二次的な薬が効かない場合、病院で最終的に勧めるのが「パス」だ。重症の結核患者の場合、他の薬にはすでに耐性を持っているゆえに「パス」の供給が中断されれば、生命を失うのはもちろん耐性が強くなった結核菌が広がり他の人々の健康までも脅威を受けるようになる。

さらに大きい問題は韓国内のおよそ10万に上る結核患者のうち約1万に上る慢性重症患者らの大半が極貧階層だということにある。それらは薬を飲むこと以外に他の治療を受けられる余裕がなく、「パス」の供給が中断されれば他になんの対策もない状況に置かれてしまう。

状況がここまで至った根本的原因は保健当局の安逸な対処にある。結核専門の医療機関であるソウル西大門(ソデムン)病院が「パスの供給が中断され適切な治療が難しい」という内容の公文を国立保健院に送ったのが先月17日のことだ。ソウル大病院も今月初め食品医薬品安全庁に「パスの供給に支障をきたさないようにして欲しい」という公文を送っている。保健当局は「これまで製薬会社と接触してみたが、採算性が合わずパスを生産しようとする会社がない」と説明したが、これは無責任な弁解であるだけだ。必ず必要な薬だと判断されれば薬の価格を多少引上げることがあっても、続けて生産するよう措置を取るのが国民健康の責任を負っている保健当局の持つべき姿勢だ。

問題が浮き彫りになると保健福祉部は一歩遅れて「パスを生産するメーカーを探したい」としたが。価格問題が妥結されるとしても原料を輸入し薬が出てくるまでは今後1カ月以上が費やされるというから、保健当局の手後れな行政ゆえに結核患者の苦痛だけが膨らむようになった。「パス」の生産は早期再開されるべきだ。その時までは即時薬を輸入してでも患者らに供給しなければならない。とりわけ、今回のことは重症の結核患者だけでなく国民全体の健康がかかっている問題だということに注目すべきだ。