
世界唯一の最大強国、米国の経済力と軍事力を象徴するニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンの国防総省に対する未曾有のテロ攻撃は、時間と共に驚愕と憤慨の度を越して米国民に恐ろしい報復の決意を固めさせているようだ。ジョージ・ブッシュ米大統領は国民に向けた演説を通して「米国は、邪悪な行為の背後で糸を引く者たちと彼らを保護するいかなる国家に対しても報復を加える」と宣言した。
ブッシュ大統領のテレビ演説直後、ワシントンポスト紙とABC放送が行った合同世論調査の結果をみると、調査対象の圧倒的多数を占める94%が今回のテロ事件について責任ある集団、あるいは国家の軍事的行動を支持すると答え、そのうちの92%は軍事的攻撃が戦争に発展することがあっても支持すると答えている。驚くべき国論の統一見解だ。日本の真珠湾攻撃以来の出来事である。
一般国民の世論だけではない。米国有力紙の社説、コラムも断固たる報復措置を促している。ワシントンポスト紙は「2001年9月11日」というタイトルの12日付社説において60年前真珠湾が攻撃を受けた1941年12月7日のように同日も「恥辱の日」として記憶に残るだろうと指摘したうえ、当時の先人が見せた「強鉄のような意思」を持ってテロを計画し遂行した殺人者と彼らに避難所を提供したり慰労激励した国家に対する断固たる報復措置が取られるべきだと促した。ワシントンポスト紙に寄稿したある外部コラムニストは議会に対して即刻の「戦争布告」を促し、もう一人のコラムニストは「米国の聖戦」を声高に叫ぶという始末だ。何かを仕出かしそうな不吉な予感がする。ニューヨークタイムズ紙だけはより慎重な態度を示している。もう少し静観したい。
この記事を書いている最中、折しも後輩の教授から送られたEメールにはノストラダムスの第三次大戦の予言が英文のまま引用されていた。ノストラダムスが予言した「二人の兄弟が大混乱の中、散り散りに裂かれる」という下りは崩壊した世界貿易センターの二塔のビルを象徴し、「大都市が燃え盛る時、第三次大戦は始まる」という時点の1999年は現在の暦からすると2001年に当るという注釈が加えられていた。このような予言を素直に信じ込む人はいないはずだが、落ち着かない複雑な気持ちは隠せない。いずれ米国世論の一致をみるかぎり、外部の敵は内部の結束を高める順応機能があるという命題には再三頷けられる。
事実、真珠湾奇襲以来、米国の自尊心を傷つけた事件は今回の同時多発テロ以外にもう一つあった。ベトナム戦争だ。ベトナム戦は米国史上初の敗退した戦争だった。当時、米国と「ベトミン・越盟」との有無形の権力資源は比べにならないものだった。例えば、国土の大きさ、人口、経済力、軍事力、保有する武器の質量を含む有形の権力資源は言うまでもなく、科学知識や技術レベル、現代的な組織管理能力など無形の権力資源においても米国は圧倒的に優位に立っていた。しかし、米国は敗退した。米国民の立場からすれば信じられない話だ。
原因は何だったのか?多くの学者は、敗退の原因としてベトナム参戦に対する米国内の国論の分裂を最たるものとしてあげる。国論が分裂したため彼らが有する権力資源は効率良く「実際的な権力(active power)」に変えられず失敗に終ってしまったという。しかし、今の米国民は再び一丸となりつつある。ブッシュ行政府の対処能力にかける信頼も高い。テロ団体を突き止め報復を加えるブッシュ行政府の能力に信頼を置くという応答は91%にも上る。
一方では国家的な危機を迎え、米国民の世論の一致と指導者に対する信頼を目の当たりにして素直な気持ちにもなった。
しかし、国内に視線を向けると情けなくなるばかりだ。国政の乱れを正すべき人事刷新の最後でかつ絶好の機会であるという国民の熱望には背を向けた最近の政府与党、大統領府の奇怪な人事が頭に浮かび、当面の国家的な危機を乗り越えるためにはいち早く国民の力を一つにすべきこの時期に、やれ反統一だやれ反改革だといつまでも内と外の線引きをして国論の分裂を先導する一部の執権勢力とそれに付和雷同する周辺勢力の思慮のなさを思うと自ずと絶望的になる。
李ミンウン(漢陽大学教授、言論学、本報客員論説委員)






