世界最強国の米国でこんなことが。
世界中の人を呆然とさせた、米国を相手とした同時多発テロはどのように発生したのか。4ヵ所でほぼ同時刻で旅客機ハイジャクから始まった事件の顛末を、目撃者の証言と各国メディアの報道を基に再構成した。
11日午前8時頃(現地時刻)米ボストンローガン国際航空。ロサンゼルス行きアメリカン航空(AA)の767旅客機が轟音と共に飛び上がった。
飛行機が離陸して15分程経っただろうか。アラブ系と見られる乗客3、4人が密かに席から立ち上がる。
「何でしょうか」。
彼らを怪しく思った女性乗務員の一人が食い止める過程で、彼らが振るった凶器に刺され倒れた。彼らは乗務員を脅し操縦室に入ってアッという間に飛行機を掌握した。
「機首をニュヨークに向けろ」。
抜け目のない作戦計画を立てたらしく彼らの行動は機敏だった。
午前8時40分頃、パイロットを脅しているテロ容疑者の目に「自由の女神像」が入る。テロ犯は待ち構えていたようにパイロットを殺害し直接操縦を始めた。
暫くした後、92人の乗客を乗せた旅客機は、恰も映画の一場面のように世界貿易センタービルの北側を突っ込んで爆発した。マンハッタンを象徴する110階建てビルはすぐに火炎に包まれ、乗客の悲鳴を呑み込んだ。
AA所属の旅客機がテロ犯によってハイジャクされた頃午前8時14分、ボストンローガン国際空港でもう一機、767旅客機がロサンゼルスに向かっていた。午前9時5分、乗客と乗務員ら65人を乗せたユナイテッド(UA)航空所属のこの旅客機もテロ犯にハイジャクされ、早いスピードで世界貿易センターの南側タワーに突っ込む。両棟共に午前9時50分と10時29分続けて崩れ、灰と化した。
映画に登場しそうな突然の奇襲テロに米国はもちろん、世界の目と耳がニュヨークマンハッタンに傾けられている、午前9時頃のワシントンのダラス国際空港。
乗客など64人を乗せたロス行きAA社所属ボイング757旅客機に乗り込んだまた別のテロ犯らは、焦りながら離陸を待ち受けている。彼らの狙いは米国防総省。
離陸直後、操縦室を掌握したテロ犯が攻撃位置を見計らっている間、客室では別のテロ容疑者が乗客と乗務員を片方に追いやっていた。
騒然とした隙を狙って、ある女性乗客は素早く携帯電話を取り出した。シアドア・オルソン米法務省次官の夫人で、ヒラリ・クリントン上院議員の伝記作家でもあるババラ・オルソンだった。
彼女はCNN放送などを通じ顔の知られた有名人だった。
「飛行機がハイジャクされたわ。テロ犯はナイフを突付けているわ」。
夫人の電話をもらったオルソン次官は、直ちに法務省の航空機ハイジャク統制センターに電話を入れた後、夫人にパイロットと連絡をとることが可能かどうかを聞いた。
「パイロットに何て言えばいいの」。
このババラさんの切ない一言が終わる前に、旅客機は国防総省西側に突っ込んで爆発した。午前9時40分だった。
続いて9時58分頃、ペンシルベニア州ウェスモーア・カウンティ付近の911緊急コールセンターのベールがなった。ニュジャージ州ニュアーク国際空港で、午前8時頃サンフランシスコへ向かう途中失踪したUA所属767旅客機の乗客のうち一人が、トイレでこっそりと隠れて飛行機のハイジャクを知らせた。
「飛行機が下に向かっている。爆発音が聞こえた。機体から煙がする」。
この旅客機は暫く後ピツバグ市東南部130km地点のサマセット・カウンティ空港北側に墜落し爆発した。
外信は、旅客機がブッシュ大統領の別荘であるキャンプ・デイビットを狙った模様だと報じている。一部では、この旅客機がテロ攻撃を断行する前に米当局が撃墜しただろう、との推測も出ている。
洪性哲 sungchul@donga.com






