Go to contents

[オピニオン]悪口文化

Posted September. 11, 2001 09:57,   

時には人の目が「私」をより正確に見ることがある。それで耳障りでももっともな言葉である場合が多いのだ。野党ハンナラ党が、「外国人の目」で見た韓国政治と指導者に対する評を聞く機会を設けた。その非公開の場で出たという話の中には「そうか」と思わせるものがあった。

「非難文化(blame culture)があまりにもひどい。国会の聴聞会も政策の過ちを正してしっかりやっていこうという場ではなく、証人を罪人視して政治的に攻撃する場となっている。大宇(デウ)自動車交渉のような場合にも、指導者らが世論を正しく導かなければならないのに、非難を恐れて責任を負おうとする人がいない」(駐韓米国商工会議所会長)

聴聞会は、米国のそれを手本としたものだ。しかし、汝矣島(ヨイド)の議事堂では、全くおかしな方向に流れて行く。釈然としない疑惑があって、それが政治問題にまでなったのなら、その内実を明らかにして二度と繰り返さないようにすることが目的とならなければならない。しかし、聴聞会はすっかり怒鳴り声と断罪の場と化したのだ。そんな状態だから国民は鼻から「政治の笑劇」に見向きもしない。

大宇自動車問題も今になって見れば、いかに愚かに長引かせてきたのかが明らかになる。GM(ジェネラルモーターズ)が当初提示した条件は結果的にはとてもよいものであった。しかし、フォードが割り込んできて公開入札に追い込んだ。後にフォードは大宇と政府をうまく丸め込んで、情報だけをごっそり持って行き手を引いたのであった。「フォードにしてやられても一言も言い返せない」と嘆いたのは金大中(キム・デジュン)大統領だった。

なぜそうなったかと政府側に聞いてみると、すぐ「聴聞会ではだれが責任をもつのか」という答えが返ってきた。フォードは初めから怪しかったが、GMと随意契約をすれば特典だの疑惑だのと罵られ子々孫々まで逆賊になるという話だ。おかしな言い訳としか言いようがない。しかしおかしな聴聞会の構造、政治ゲーム方式、非難文化が、大宇自動車の災難を育てた一要因であることを外国人が見透かしているのではなかろうか。国益のための選択が何かを見つめつつも、逆に流れて行く政治と行政の無責任のための参り果てるのは国であり国民だ。

「韓国政治の最も大きな問題は、討論がないという点だ。政界は法案を十分に討論しないまま通してしまう」。(外国企業の韓国副社長)同じ場から出た言葉だ。まるで国会で林東源(イム・ドンウォン)統一部長官解任案を票決する日、追加の補正予算案をおまけで処理してしまったことを言っているようだ。

税金を納める国民を思えば、5兆555億ウォンの追加補正予算案を一言の討論もなしに通すことができるだろうか。まさに本末転倒としか言いようがない。国民の目からは、統一部長官一人の進退をめぐって統一するしないと、まるで国家存亡がかかったかように大騒ぎして決断を下すこと自体がおかしい。政界は政争に明け暮れるだけだ。そのおかしいなパワーゲームに国会議員約260人が命をかけるかのようになる一方、いざ追加補正予算はおまけで通してしまう。呆れた職務遺棄としか言わざるを得ない。

どうして韓国政治に討論がないと言えるのか、と聞き返す人がいるかもしれない。しかし、罵倒と皮肉、詭弁が飛び交うだけで討論とは言い難い。数字を持って合理性を突き詰めながら、頭を悩ませる国会であると、だれが主張できようか。

「スポークスマン制度に問題がある。争点がある度にスポークスマンが出て口喧嘩を繰り広げるが、先進国では党首総裁が直接表に出る。そうでこそ責任ある政党としてのイメージが高められるだろう」。(ソウル駐在日本ジャーナリスト)これもやはりその場から出た言葉だ。

外国人の目にも韓国のスポークスマンの罵倒の競演は苦々しく映っていたようだ。毎日相手の神経を逆撫でるような言葉を発し、ひどい目にあわせられないだろうかと考える。このようなスポークスマンを看板として立たせる政党が、韓国以外にあるだろうか。スポークスマンの非難と糾弾が上品で気にいらなければ、議員と副スポークスマンが出てきて、悪口の密度と含量を高めるのだ。

笑えるが涙が出るような言葉、悲しくも中途半端な言葉ばかりだ。「移民博覧会に4万人も殺到するのを見ると、共産化する前に逃げようとする人が多いようだ」「李会昌(イ・フェチャン)と金鍾泌(キム・ジョンピル)名誉総裁(JP)が手を握った「チャンピ」(羞恥の意)連合」。いろいろの言葉遊びが飛び出す。そのためかインターネット討論室にもすっかり政治に汚された罵倒だ。この国のデジタル文化は悪口で開かれている。皆回答は後回しにして、誹謗、非難、悪口で、政界の混乱を楽しんでいるかのようだ。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員



seescheme@donga.com