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「鉄道連結の合意は, 韓国側に投資を求めたもの」

「鉄道連結の合意は, 韓国側に投資を求めたもの」

Posted August. 07, 2001 10:20,   

▲ユ教授〓朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)総書記の今回のロシア訪問と共同宣言発表は、北朝鮮が国際社会に参加しており、今後も引き続き参加することを意味する。北朝鮮が、今回ロシアと首脳会談を行ったのは、米朝会談に先立ってロシアと中国との関係を回復することで、米国に対する立場強化を狙ったものと見られる。

▲チョ博士〓米国のブッシュ政権は、ミサイル防衛(MD)体制開発の大義名分に、北朝鮮のミサイル問題を取り上げてきた。この問題は、北朝鮮にとっては対米関係改善の足かせになっているが、ロシアにとっても米国との関係確立に妨げにになる要因だった。北朝鮮とロシアの双方は、同問題に対して、それぞれの評価と対応策を模索する必要があったはずだ。

▲ユ教授〓南北関係が小康状態にあるのは、対米関係がこう着しているというのも一因だが、南北間で電力など社会間接資本(SOC)の援助問題が遅々として進まなかったからだ。北朝鮮とロシアが今回の首脳会談で、電力と鉄道問題などについて合意したことで、南北関係も対話の局面を迎えられる間接的な突破口が見出せたと言える。

▲チョ博士〓南北関係の小康状態は、北朝鮮の通常兵器まで交渉の議題に取り上げた米国の強硬な姿勢が背景にある。北朝鮮が今回、在韓米軍の撤退問題を持ち出したのは、そのような米国を牽制したものだ。

▲ユ教授〓鉄道の連結は、ロシアの力だけでは難しく、南北が直接、間接的に参加せざるを得ないという点で、今回の会談は我々にも多くの課題を残した。北朝鮮が共同宣言を通じて、テロを否定し、ミサイルの平和的利用の意志をアピールしたのは、米朝対話の促進要因として作用するものと見られる。

▲チョ博士〓米朝関係の焦点は、94年の米朝枠組み合意(ジュネーブ合意)の履行にあると言える。現在、ジュネーブ合意は、完了形ではなく、進行形だ。北朝鮮は、米国の核査察受け入れの要請に対して、スタートの段階の約束も守られていないのに、補充形、完了形を要求するのは無理だと主張している。今回ロシアとの首脳会談は、米国が強気に出れば、北朝鮮もロシアや中国という切り札があるということを誇示したとも言える。また、米国が米朝会談を急がないと明らかにしたことに対して、巻き返しに出たとも受け取れる。

▲ユ教授〓鉄道連結問題は、南北の鉄道がつながらなければ意義がないという点で、京義線(ソウル〜新義州)の復元にも役に立つだろう。

▲チョ博士〓社会主義国家だった北朝鮮とロシアは、内需型の経済運営をしてきたために、企業と工場の隅々にまで鉄道が敷かれた。産業間連係がよくできているということだ。ロシアと北朝鮮間の鉄道は、すでに連結済みのようなものだという点で、今回の鉄道連結合意は、韓国側に積極的な投資を促しているといえる。

▲ユ教授=ロシアは今回の会談を通じて、韓半島で重要な役割を果たせる力量を備えているということを示した。ロシアは、ここ10年間、改革・開放を安定的に進めてきたことで、韓半島を通じて北東アジア地域の強国として再び浮上するきっかけを掴もうとしている。

▲チョ博士〓中国、ロシアが北朝鮮と協力するとしても、過去のものとは、ことが違う。イデオロギー的な共通性を基にした無条件の協力を行うというものではない。共同宣言で目立つのは、社会主義イデオロギーと社会主義国家間の団結を基本柱としていた過去の声明とは違って、国際法と正義など新しい世界の価値を目指している。もちろん新しい世界秩序は、米国の独走を牽制するためのものでもある。

▲ユ教授〓金総書記の長期間の列車旅行は、父親(故金日成主席)が過去旧ソ連を訪問した際の両国間の協力関係を追従する意味が込められている。

▲チョ博士〓これは、故金主席を継承するという正統性の問題とも結びついている。また、訪問先で金主席が築き上げた人脈を取り戻すという意味も込められている。また、汽車での旅行は、現場で学べる機会も多く、効果も大きい。

▲ユ教授〓北朝鮮が最近、中国やロシアとの関係を強固にしたことで、北方三角関係を構築しようとしている、との指摘があった。だが、過去とは性格が違うという点で、新冷戦に流れる可能性は、非常に少ない。ただ、北東アジアの関連6カ国が、自国の利益のために、戦略的に競争する局面が目立っていることから、能動的にに対処しなければならない。

▲チョ博士〓ロ朝共同宣言は、米国、中国、ロシア間の対立が深まれば深まるほど、北朝鮮の出番が増えることを意味する。だからといって、北朝鮮と中国、ロシアとの関係が過去に戻るとは考えにくい。目指しているものがそれぞれ違っているためだ。これら三カ国が、政治、経済、社会などすべての分野で緊密に協力するにしても、経済的な利益がベースになっているため、韓国の役割がますます重要になるだろう。



金影植 spear@donga.com