
一年12ヵ月の中でも、一際7月と8月に夏休みを取る人が多いのが今の私たちの現状。どこも人込みで、とはいっても行き先は限られているし・・・。こんな始末とあっては、せっかくの夏休みを楽しむためにも、今や秘伝が必要な時だ。
東亜(トンア)日報スポーツ部の旅行チームは、国内旅行専門のトラベルライター(Travel Writer)4名とともに選定した「山と渓谷ベスト10」から、伝来の吉凶書「鄭鑑録(ジョンガンロク)」と「土亭秘訣(トジョンビギョル、朝鮮中期李之函=イ・ジハム=が書いた本)」の中で、隠遁と避難の地として記されている「奥地」3ヵ所を訪ねることにした。
#鄭鑑録の「三遁(サムドゥン)」と「四(サ)ガリ」
鄭鑑録の「避長処」に次のような記録がある。「春川(チュンチョン)キリン谷は、最も深くて窮僻(甚だ辺鄙)で・・・(中略)ソヤン江から遡れば、一筋の水の流れが谷の入口に聳える岩の間から落ちて・・・」。「三遁四ガリ」という記録もあるという。遁(ドゥン)は、山奥の広い大地、ガリは深い谷の奥にある畑を耕せるだけの土地、三遁は、ウォル遁・タル遁・セン(サル)遁のこと。サガリとは、アチムガリ・チョクガリ・ヨンガリ・ミョンジゴ(ガ)リなど。三遁は、江原(カンウォン)道 イン蹄(インジェ)郡所在のジョンボン山〜クリョン嶺〜ビロ峰(オデ山)〜ゲバン山に続く白頭大幹(ベクトゥデガン)西側の山々。サガリは、ソヤン江上流ネリン川の最も上流に当るバンテ川に流れ込む深い水路で、バンテ川渓谷(ヒョン里〜ジンドン里ソルピ村)の右手、バンテ山の裾に隠れるように位置している。
▲セン遁とミサン渓谷
午前7時。洪川(ホンチョン)を経てヒョン里に向かう途中、雨の中でヒッチハイクをしている一人の学生を車に乗せた。サンナム中学の生徒だった。「夏場、村人が一番多くやってくるところはどこ?」。「ミサン渓谷です」。「道程が険しいようだが・・・」。「最近開通したばかりです」。
サンナム三叉路に学生を降ろして右折し、バンネ川沿いに伸びている446番地方道路を辿って渓谷に向かった。雨雲が雲霧を作りつつ谷間の所々にできた溝の中から沸上がる景色。早起きした者に対するご褒美としては、もったいないほどの仙景だった。ネリン川のミサン渓谷は、バンネ川とネリン川が合流するミサン3橋(5.6km、以下距離基準はサンナム三叉路)下の合流地点から上流のセン遁(ユルチョン里)までの8.4km区間。ミサン3橋下のドゥムルモリは、砂利畑が広がっており、キャンプに適した所に見えた。
サンナム三叉路〜ミサン3橋までの小川は、幅こそネリン川の半分にも満たないが、流れが穏やかでこぢんまりしていることから、子ども連れの家族にお勧めの場所だ。この小川周辺の民宿は5軒。そのうち最初に現われる「冷蔵渓谷休憩所」(033—461—4136)の風情は最高。小川を渡れば湧き水の出る所もあれば、民宿の主が採ってきたコクチ(コウライオヤニラミ)やナマズの一種など、淡水魚の鍋料理も楽しめる。ドゥムルモリには、ハプス旅館・民宿食堂(033—463—6787)などがある。
ミサン渓谷は、一部の区間で未だ非包装道路があるが、通行には事欠かなかった。水辺に沿ってキャンピング可能な場所が続くので、じっくり見ていくことにしよう。道路沿いの民宿が合せて11軒。木造の小ぢんまりしたペンションスタイルの民宿も数軒目に付く。
チルチョン洞とソゲイン洞を過ぎて広い盆地が現われれば、セン遁(又はサル遁)だ。四方険しい山に取囲まれた谷底の村。狭苦しい感じがせず、心地よい気持ちになれるところから察するに、おそらく吉凶書に載りそうな隠遁の地に違いない。ネリン川沿いのサルドゥン山荘(033—435—5928)は、丸太で建てた家。ムルドリ洞にあり、キャンピングと水遊びを楽しめるスペースも備えている。ビニールハウスの中に書架を設け、およそ4万冊の蔵書を置いているところからも、主の人柄が伺える。
▲ジョッカリコル(別名、マダンバイコル)バンテ山自然休養林
原始林が生茂る奥深い谷間、嶺いっぱいに野草が咲乱れる草原として知られるジョンボン山なみの一つゴンべ嶺(イン蹄郡麒麟面ジンドン里)。バンテ川沿いの渓谷の奥深くに潜んでいる。バンテ山キッテ峰の裾が空を遮っている渓谷。奥に進むほど空は狭くなり、右手の山裾に小さな渓谷サガリが一つずつ姿を現す。ジョッカリコルは、その最初の小川。
バンテ山自然休養林(033—463—8590)は、ジョッカリコルの最上流に位置している。ヒョン里から休養林までは6km。小川に沿って奥に入ると、水も風も静かになった。休養林周辺の道路沿いには、綺麗でこぢんまりした民宿が次々と現れる。渓谷の美しい景色は、休養林のチケット売場を過ぎて、ようやく目にすることができる。渓谷の醍醐味は、ここから車の通行止め用遮断機が降ろされた滝までの2km区間。渓谷両端を飾る二つの滝の名は、「この滝(上)」「あの滝(下)」だ。高さ10mのこの滝から落ちた水が、小さな滝つぼでしばらく休んだ後、再び広い岩を伝って落下するあの滝は、スカートの裾を広げた形をしている。渓谷の森の木陰に腰をおろして、清雅な滝の音を聞きながら足を洗っていると、世の中の煩わしいことが全て消え去ってしまいそうだ。
休養林のキャンピング場は、滝から歩いて10分のところにある。チケット売場の前には、ワンルームスタイルなど、民宿が数軒並んでいる。そのうち、樹齢700年の巨大な松の木の下に木の葉状の、変わった屋根をしたワンソル農園(033—463—5947)が目を引く。ワンルームは5〜6万ウォン、部屋は一部屋3〜4万ウォン台。
◆道順 ①ミサン渓谷・セン遁〓ソウル〜ヤンピョン〜洪川〜グソン/56番国道(ヤンヤン行き)〜ヨンドゥアン/444番地方道路〜ミギョ〜サンナム〜446番地方道路〜ミサン〜センドゥン(遁)②ジョッカリコル(バンテ山自然休養林)〓〃〜サンナム〜ヒョン里/453番地方道路〜バンドン橋〜自然休養林
#土亭(トジョン)の三豊
土亭秘訣に次のようなくだりがある。「9年間の凶作の後に、穀物の種は三豊から得て、12年間の戦乱の後に、人は両白から得よ」ここで三豊とは、山・水・木。両白は、太白(テべク)と小白(ソべク)の二つの山をいう。三豊の地は、蔚珍(ウルチン)と三陟(サムチョク)の境にあるウンボン山の西北斜面の三つの渓谷(ボリコル・ヨンソコル・ウムチコル)の麓にあるプンゴック里(三陟市ガゴック面)であることが分かった。この村のヨンソコルまで続いているドップン渓谷は、三豊が満ち足りていて景色のすばらしいところだ。標高350mの渓谷の端に11世帯26人の住人が暮らす奥地のドップン村には、民宿もある。駐車場からチケット売場を経て渓谷の水に沿って歩いていると、橋を5つ(ソンファン・ボリッ・ヒョンス・ブチュバッ・カルトゥンモリ橋)も過ぎる。このままドップン村まで伸びている、5.4kmの狭く長い渓谷の風景は、秘境そのもの。村には、民宿もある。ここからヨンソコルの第1の滝までは、往復1時間ほど。カゴック自然休養林(033—573—4659)は、チケット売場から1km。
◆道順〓ソウル〜ヨンドン・東海高速道路〜東海(トンへ)/7番国道〜三陟〜ホサンウォンドク/416番地方道路〜プンゴック三叉路(ドップン渓谷駐車場)
趙誠夏 summer@donga.com






