朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の商船が13日、またもや東海の北方限界線(NLL)侵犯した。6・15共同宣言1周年を「記念」するかのように、今月2日から韓国領海とNLLを幾度にもわたって侵犯した北朝鮮側の態度と韓国側の曖昧な対応には失望の感を否めない。
最近明るみになった北朝鮮商船と韓国海軍艦艇との交信内容を見ると、北朝鮮商船は権利を主張するかのように済州(チェジュ)海峡を侵犯し、韓国側は「侵犯しないでほしい」とお願いでもするような雰囲気だ。全く主客が転倒した感じだ。
これに加え何よりも関心を引くのは、今月2日に済州海峡を侵犯した北朝鮮商船「清津(チョンジン)2号」が、韓国側に「昨年6月15日の北南交渉の際、済州島北端を自由に航海することが可能だと決定されたと聞いている」と答えたことだ。これを受けて野党ハンナラ党は、北朝鮮商船の韓国領海通過と関連して南北の「密約説」を提起している。
言うまでもなく、林東源(イム・ドンウォン)統一部長官をはじめ政府関係者らは、「事実無根」だと否定している。しかし北朝鮮商船は、上部の指示を徹底して遂行していると公言しており、「 6・15北南交渉での決定」云々が何の根拠もない作り話だろうか、との疑問は依然として残っている。
政府は、最近の北朝鮮商船の領海侵犯と韓国の消極的な対応が、「太陽政策」への国民の支持低下にいかに影響を与えているかを考慮すべきだ。6・15宣言1周年を迎えて行われた各種の世論調査でも、政府の対北朝鮮政策に対する国民の不満が、主に政府の「原則のない姿勢」に起因しているものと分析された。対北朝鮮政策が正々堂々と推進されておらず、よって自然とその透明性も疑われ、いわゆる南南葛藤の溝も深まっているのだ。
6・15宣言が韓半島の分断歴史の中で持つ歴史的意味は、いくら強調してもし過ぎることはない。しかし、1周年を迎える今日、足踏み状態にある南北関係を目にする我々の心情は複雑だ。
一方的に合意事項を破棄し、時を選ばず韓国の領海を侵犯する北朝鮮側の底意は何か、これに対する韓国政府の戦略はいかなるものか、金正日(キム・ジョンイル)総書記の答礼訪問の約束はいつ果たされるのか、気にかかるところだ。
ともあれ米朝協議が再開された。北朝鮮としては、もはや南北対話を拒否する名分がなくなった。 いま一度、北朝鮮が誠実な姿勢で一日も早く南北対話に応じることを求めたい。






