
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のキム・ジョンイル(金正日)総書記のソウル訪問可能性に対する国内外の関心が高まっている。6・15南北共同宣言によってキム・デジュン(金大中)大統領と金総書記は呉越同舟(ごえつどうしゅう)の関係に入った。金大統領は今までの路線を続けるほかない立場だ。反面金総書記は韓国の約束違反や背信などを理由に政策路線の修正・変更が可能だ。
北朝鮮が金総書記のソウル訪問と関連して考慮すべき要因を検討するのは、訪韓の可能性とそれに続く共同宣言の内容を予測することに役立つ。北朝鮮としては次の諸条件が満たされることが重要だろう。
第一に、統一問題での進展が必要だ。北朝鮮は連邦性に向けた前進を誇示しようとするだろう。連邦政府機構の設置に対する合意や連合と連邦の共通点を具体的に実践に移すための研究協議体を稼動することで合意するのがその例といえる。しかし国内の保革葛藤が牽制要因として作用する。
第二、金総書記が統一朝鮮の指導者としての位置をどれくらい高められるかを考えるだろう。北朝鮮が韓国内の親北および対北友好勢力の規模をどのくらいに把握しているかは分からないが、もし数百万人が道に並び金総書記を歓迎する場面を想定しているなら、金総書記と北朝鮮体制の正統性向上のためにはとても魅力的に映るだろう。
第三、北朝鮮は経済の回生と発展のために韓国が保証する支援の種類や規模に注目するだろう。クムガン(金剛)山流の事業の持続、公団支援、肥料・食料支援、インフラ整備支援、電力支援などの要求が通るかを見守ると思われる。韓米首脳会談での了解状況など外的な牽制要素と韓国の政治的危機という内的要因が韓国政府の北朝鮮に対する支援約束を守ることを難しくしている状況下で、北朝鮮が金大中政権の意志と執行能力をどのように評価するかが問題となる。
第四、韓国内の北朝鮮に反対する保守勢力を無力化させながら韓米間の矛盾を激化することで反米運動を拡大させるなど、統一戦線戦術においての損得にどれほど寄与するかを判断するだろう。訪問に際して直面するであろう反対勢力の動向や身辺の安全問題なども検討の対象になる。韓国政府の安定度、対北政策の趨勢、韓米共助関係、次期政権の性格など、韓国内の事情も綿密に分析するに違いない。最も効果的に使用できるたった一度きりの訪韓カードを現政権を相手に使うか、次期政権用に取っておくかも考慮するだろう。
第五、米・中・日・露など他国との関係に及ぼす影響も検討の対象となるだろう。全方位外交(イデオロギーを超越してあらゆる国家との外交関係の樹立を目的とする政策)や国際機構の事業などに及ぼす影響と、訪韓が対米関係の改善という最優先順位事業にプラスに作用するかも考え合わせると見られる。
要するに、北朝鮮の訪韓決定には金大中政権が提供する政治的、経済的「プレゼント」の大きさが多大に影響する。北朝鮮の立場では近い未来にソウル訪問を決断する条件や雰囲気が整うとは思わないだろう。韓国内の否定的動向、韓国政府の自主性と主体性の欠如、各種約束の履行に対する懐疑および国際環境の変化は北朝鮮の慎重な決定を要求していると考えるからだ。
北朝鮮が考慮すべきこれらの事項が北朝鮮の要求の前提条件になるなら、韓国政府は訪韓を実現させるためにどの程度の「見返り」を提供すべきなのかを冷静に考えるべきだ。金総書記の訪韓の実現そのものが目的でないなら、国民、国家、民族的レベルでどのような意味と利益があるのかを克明にし、国民の支持を取り付けなければならない。韓国政府は首脳会談の定例化や和解交流の拡大を望んでいるという。しかし定期的に顔を見合わせることが支援のきっかけとなるだけで平和の定着、平和共存、軍事的緊張緩和、信頼構築の面で成果を収められないなら国民の理解を得ることは難しい。
韓国政府は金総書記の訪韓が待ち遠しく、あらゆる努力と資源を投じてでも実現させるという構えだ。望ましいことは、これまでの包容政策の基調を現実主義的思考と政策で補完し、幅広い国民の支持を得られる立場を整備し直して、それを北朝鮮に提示し、北朝鮮もそれに応じる用意がある時に限り金総書記の訪問を期待するという立場を堅持することだ。真の和解、共栄、平和統一のための努力に意味のある進展をもたらす訪韓が実現されることを願う。






