
金大統領は11日(木曜)の午前、青瓦台(大統領官邸)で内外信年頭記者会見を開き、政治安定と改革実
践の意志を宣言した。以下は記者との一問一答を要約したもの。
MBC:大統領は数日前、自民聯の総裁と会談し、協力体制と2002年12月に行われる時期大統領選について話し合った。これに対する見解を聞きたい。また、‘強い政府’の発言以後、政治的不和が発生している。大統領の強い政府についての見解はどうか。
金大統領:自民聯との協力体制を築くための話し合いにおいて、大統領選について話し合ったことはない。今は総力を挙げて経済を回復させ、経済と社会を安定させる時期だと考えている。
国民日報:安企部(旧国家安全企画部)予算流用事件の捜査が進められている。これがハンナラ党の李會昌(イ・フェチャン)総裁と金永三(キム・ヨンサム)前大統領に対する捜査に発展するかについての考えをお聞きしたい。
金大統領:検察は法に基づいて操作を行っている。いくら大統領といえどもそこに介入することは正当ではないと思う。今は言及を差し控えたい。
SBS:安企部予算の流用に対して野党が強く反発している。大統領の不正資金の規模まで提示しながらその内訳の公表を要求している。
また、大統領の政治資金規模を詳細に明らかにして、第16代総選挙をはじめとする選挙資金を事細かに調査することも要求している。これに対してはどうお考えか。
金大統領:今検察は国家の予算を盗用するという犯罪行為を捜査しているのである。焦点をそらしてはいけない。私は過去政権5年間の政治資金に関する不正がないことを明らかにした。大統領選期間もそうした。選挙の時に数億ウォン隠していたとして国政監査で証人審理を受け、口座追跡する時は与党が否決した。いまさら済んだことを掘り返そうというのは、まったく価値のないたわ言に過ぎない。重ねて言うが、私は政治資金をもらって使ったことは断固としてない。もし事実だったら今この場にはいないだろう。
ハンギョレ新聞:与野党間のひどい対立に対する国民の批判が高まっている。李会昌・ハンナラ党総裁とまた会談する考えはないのか。また、今年は野党と‘常生の政治’を実現させると言っていたが、野党との関係改善のための具体的な計画はあるのか。
金大統領:野党と協力関係を維持するというのは、過去も現在も変わりはない。大統領になった者が大統領として成功するためには、野党の協力が必要である。しかし今まで野党の協力を得られず、厳しい指弾を受けてきた。様々な困難があった。
与党との関係を回復させてうまくやっていきたい。そのためにはいくつかの原則、即ち民主主義的原則、法治主義的原則、相手を尊重する原則を守らなければならない。大統領になる前の野党時代、私はこれらの原則を守った。全ての案件の97%は事前に了解を求めた。政治の安定、民生の安定、南北問題は与党に協力して助けた。大統領は公正な政治を実現させるために努力しなければならない。
ソウル経済新聞:経済問題に対して伺いたい。最近経済が悪化するにしたがって庶民はもちろん、中産層まで大変な苦痛を味わっている。現在、国民の政府が推進している構造調整と経済活性化対策は、相反する側面が強いと伝わっているが、これをどう調和させていくのか。同時に、金融システムの改善に関する腹案についてもお聞きしたい。
金大統領:とても重要な質問だ。構造調整は基本にして優先課題だ。経済対策は補完的な問題である。医師が重い患者を手術して助けることが構造調整だ。しかし経済回復は、鎮痛剤や栄養剤を与えて患者の苦痛を和らげながら健康を回復させることだ。だから構造調整と景気回復が必要なのだ。金融問題においては、ご存知の通り、かなりの部分に政府が介入している。今はあらゆる金融機関が透明になりつつある。他の市場景気原理にそぐわないこともなくなった。財務構造は健全になった。各金融機関は、持ち株会社と合併したり優良会社となって、世界でも優秀な金融機関になるために、電算化や構造調整などに尽力している。国内に外資系金融機関がたくさん入ってきている。それらの銀行は、一人当たりの付加価値が1億ウォンだ。韓
国は5千万ウォンにも満たない。このままではいけない。金融監督庁にはその方向で管理するようにさせている。
コリアタイムズ:株価の流れが世論を左右するという指摘がある。最近株価が安定の兆しを見せているが、これに対する見解と証券市場の活性化について述べてほしい。
金大統領:多くの投資家が100兆に上る損害を被ったという報道を見ると胸が痛む。まず証券市場が活性化する必要がある。そのための王道は存在しない。正道があるのみである。証券市場が活性化するためには企業が活性化しなければならない。二つ目は、あらゆる企業が競争力を持たなければならない。競争力がない企業は撤退しなればならない。そして韓国の証券市場は特に市場の心理が左右される。わが国の国民は世界で最も専門化が急速に進めている。21世紀は専門家の時代だ。韓国の変化に世界が驚いている。情報化を「すればいいだろう」という考えで取り組んではいけない。ある教授は「『経済は心理だ』『すればいい』という考えを持てば経済はうまく立ち行く」という発言をしていた。韓国にある外資系企業に世論調査をしてみると韓国経済に対しては希望的な意見を述べる。これを我々がうまく活用し、4大改革を速やかに徹底してすることに進めることで証券市場を盛り上げなければならない。
韓国日報:民主党議員の自民聯(自由民主連合)移籍について批判が多い。これに関しての見解を話してください。これが自民聯側の共助の前提として要求したものであるのか、この点も明らかにしてほしい。
金大統領:民主党議員の自民聯移籍、このようなことは過去に前例のないもので、それほど喜ばしいことではない。この点では国民の批判には我々が耳を傾ける。しかし、野党がこれを批判するのは正しくない。理由をいくつか挙げれば、野党は総選挙の民意に背くと言っている。これは自民聯は17席しかないが、野党が言うように自民聯は何でもないという表われではない。二つめは自民聯がハンナラ党に協力すればハンナラ党が国会で勝ち、民主党に協力すれば民主党が勝つのが実際の話だ。現実的に自民聯がキャスティングボードの役割を果たしている。世界の多くの国は少数意見を尊重するために10席以上であれば院内交渉権を与えている。三つ目として、自民聯と共同で定足数を合わせる案を国会に出した。このように野党は妨害している。四つ目、果たして野党は過去、与党時代にそのようなことをしなかったのか。過去の与党は過去の野党の議席を破壊し、与党へと連れて行った。自分達がそのようにして野党を破壊して連れて行くのは正当化し、今は国政を破壊する行為だと蔑むのは国民にとって納得し難い面があるだろう。このような問題に対する国民の批判には甘んじるが、野党の批判はそのような立場に当たるか、一度深く考えてほしい。
平和放送: 昨年は南北関係に於いて成果も多かったが一方では「一方的に引っ張り回されている」「与えることしかしていない」という指摘もある。これに対する見解を明らかにしてほしい。また一つ、金正日(キム・ジョンイル)総書記のソウル答訪等、今年の南北関係の見通しは。
金大統領:私の考えでは引っ張り回されていることも引っ張り回してきたこともない。互いの協力なしには何もできない。しかし、結果的に見れば我々が得たものは多い。絶対に我々が引っ張り回されたわけではない。朝鮮戦争以後、南北間の緊張が大きく緩和された。北朝鮮の新年辞だけを見ても韓国に対する批判はない。北朝鮮も共に助け合わなければならないとの立場を公にしている。離散家族問題もより多くの進展が期待され、京義(キョンウィ)線復元、開城(ケソン)工団建設等、今年中に輪郭が明らかにされるであろう。南北間の社会‐文化交流も活発になっている。我々が譲歩したことがあったとしたら、それは会談の時期や場所だ。大きな問題ではないと思う。つまり南北は引っ張り回すことも引っ張り回されることもない。結果的に見れば我々が得た物の方が多い。国民の同意なくしては北を支援しない。国会で50億ウォンの承認を受けた。一人当たり1万ウォンを援助する程度だ。国会でその程度の額を承認してくれたのでそうすることにした。残りは民間の協力があった。北朝鮮が経済的にうまくいくことが、統一後の負担が減ることだ。相手にしやすくなる。和解と協力を通してうまくやっていきたい。金正日の答訪も計画通りに行なわれるだろう。
Time:韓国政府とアメリカの次期ブッシュ行政府との関係について質問する。次期行政府は北朝鮮に対して強硬な政策を取ると見られている。また、物議を醸している“国家ミサイル防御システム”を支持するとも言われている。このようなアメリカの次期行政府の政策変化と関連して、韓米間の関係を改めて設定する必要があると思うか?また、韓米間の交易・貿易関係がこれからどのように変化するとお思いか。
金大統領:まず、韓米間の貿易において、両国間に大きな問題はない。解決に対し難航が予想される懸案も今のところはない。次期ブッシュ行政府は自由貿易をモットーにする政府であり、我々にとっては利益の方が多いだろう。ブッシュ行政府と対北政策については、基本的にブッシュ行政府も太陽政策を指示しているとの話が聞かれる。また、南北問題についてもこれまでと同様、韓国がリードすることを認めている。しかし我々は、南北関係が成功的に改善されるためにも、韓国-北朝鮮-アメリカが共に協力しなければならないと思っている。これは対話によって共同対応をするという事だ。韓-米-日も共同対応していくだろう。私は近くブッシュ大統領との対面を期待している。
AFP:昨年の6月に行われた南北首脳会談以降、南北関係の改善にはかなりの成果があった。今後、韓国の大統領が変わり、北朝鮮の指導者が変わったと仮定した場合、現在と同じ南北和解の協力基調が維持されるとお考えか。
金大統領:北朝鮮の新たな指導者の登場に関しては、私からは何も言えないし、予測することもできない。国民が指示する範囲のすべての対北政策を行うだろう。国民の指示なしで、自分だけの考えや、大統領職としての業績を残すための政策は進めないつもりだ。
韓国経済新聞:改めて経済関連の質問をする。今年の下半期以降、景気が回復するだろうと話していたが、その根拠は何か。
金大統領:韓国企業の代表がテレビに出演して話しているのを見たが、彼らは韓国経済に対し悲観的でなかった。彼らは、4大改革だけを徹底して行ってほしい。その後からは自分達が推進していく、と話した。これは政府を信頼しているということだ。4大改革を行い集団利己主義に陥らない。それこそ、改革をもって経済力を強化させる典型例であり、企業が再生し得る近道だ。政府がこのような態度を示す事により、ようやく国民も政府を信頼し、縮こまっていた消費も回復し出すだろう。収入の少ない人は仕方ないが、そうでない国民は適当な消費が望ましい。これが現実化すれば景気は徐々に回復するだろう。
毎日経済TV:国民銀行と住宅銀行以降、優良銀行の合併はどのように進められ、いつ頃終わるのか?産業銀行の会社債買収が特定企業に対する支援であると同時にリストラを遅らせるものとの指摘があるが、これについてどのようにお考えか。
金大統領:国民(クッミン)銀行と住宅(ジュテック)銀行が合併した。そして、市中銀行6行が公的資金を支援してもらった事により、持ち株会社になる可能性が高まった。金融機関のリストラは順調に進んでいると思われる。この先経済力のない銀行は生き残れない。以下、財政経済相が詳しく説明する。
財政経済相:経済チーム長を任された者として重大な責任を感じる。産業銀行の会社債の迅速な買収制度は、IMF時に発行された債券の満期が今年やってくるということだ。総生産の15%を超える巨額の会社債の満期到来を意味する。銀行は主に国公債を買い入れ、企業へと戻るべき資金が回らない。詰まった所を通してやらなければ、資金市場の梗塞、実物市場の萎縮が起こる。
政府は苦心の末、一時的に今年1年に限って、徹底した自力更生の努力を前提とし、会社債買収金利も市場の情勢に合わせ会社の信用等級に見合った制度を適用することにした。資金市場の不安を解消し、難局を克服していくための不可避な選択だと考えてもらいたい。
北海道新聞:北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が韓国に対し、電力支援を要求しているが、国内では反対の声があるのも事実だ。国民を説得してでもやるべきことか?どのような条件が満たされれば実行に移すのか。万が一、北朝鮮でこれを金正日(キム・ジョンイル)総書記訪韓の条件とする時は、どのように対応するお考えか。
金大統領:まず金正日(キム・ジョンイル)のソウル訪問に条件があるはずはない。彼が来れば南北関係の平和について話し合うことになるだろうが、それが電力支援の条件にはならない。
私が無条件で訪朝したように、彼の方にも条件がない。次に、支援の主体は民間が行うだろう。政府次元の支援は予定された範囲内でのみ行われるだろう。しかし電力支援にあっては、技術的な問題が伴う。それで両国の技術的な問題を検討しながら、追って処理法案について話し合うようになっている。この問題はこれから話し合われなければならない。






