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生計型犯罪の急増現象

Posted December. 20, 2000 11:46,   

停滞した経済が人々を犯罪者に追いやっている。働き口の探せなかった家長が人の家に盗みに行ったり、生計の苦しい家政婦が市場で食べ物を盗んだりする。

わずか2年前、国際通貨基金(IMF)の管理体制下で発生した`ハングリー(hungry)窃盗'あるいは`生計型犯罪'が最近の冷え込む経済と共に社会現象として復活した。

特に、生計型犯罪は、社会構成員のもっとも原初的な問題である`飢え'をきちんと解決出来ずに発生するものであり、また、その社会の福祉水準をそのまま露呈するとのことで深刻な問題だと言わざるを得ない。

14日、ソウル・カンソ(江西)警察署では平凡に見えるある40代の主婦がスーパーで魚2匹とシャンプを盗んだ容疑で逮捕された。息子(19才)と二人で1200万ウォンのレンタルハウスで暮しているカン某氏(43才)。

食堂で働きながら生計を立ててきたカン氏は、景気停滞が本格化した9月から働き口を失った。雑役でもしなければ一日中何も食べられない羽目に陥ったが、そんな雑役さえもめったに見当たらなかった。カン氏は警察の取り調べで「息子が明日(15日)、大学入試願書を提出しに行くが、ちゃんと食べさせられなかったことが気に残った。魚を目にした途端、鍋物が好物の息子が思い浮かんで、瞬間的に盗みの心が働いてしまった」と語った。貧困と飢えが一人の主婦を犯罪者に追いやったのである。

先月25日、ソウル・カンドン(江東)警察署で夜間住居侵入および窃盗の疑いで逮捕された金某氏(34才)。事業に失敗して今年6月から`失業者'に転落した金氏は、その後一所懸命に求職活動を行なったものの、結局就職には失敗した。

金氏は25日、たまたまソウル・カンドン区チョンホ洞で門の開いているある住宅が目につき、その家に入って化粧台に置いてあった13万ウォンを盗んで出る際、帰宅中の家の主人らに捕らえられた。

金氏を取り調べた警察官は「現金以外には何も盗まなかったから『初犯』に違いない。人の物を盗むような人には見えなかった。『いったい、どうしてそんな行動にでたのか』と聞いたら、金氏は『お金が切実にほしかった』と言いながら心から後悔している様子だった」と話した。

警察庁の集計によると、今年全国で発生した窃盗犯罪は11月まで15万7482件として、昨年1年間の8万9394件に比べ大きく増加した。歳暮、窃盗犯罪が増えることを勘案すると、今年の窃盗件数は昨年の2倍を上回る可能性が高い。

実際に現場で感じる`体感指数'はより高い。ソウルのある警察署の刑事系所属警察官は「最近、窃盗事件の半分以上が初犯によるもので、盗むものも少額の現金や生活必需品が多い。また、盗んだ動機も『生計が苦しいため』や『突然偶発的にほしくなったため』などの生計型犯罪を裏付ける答えが多かった」と説明した。

延世(ヨンセ)大社会福祉学科の金東培(キム・ドンべ)教授は「ハンガリー犯罪の増加は、失業者になって生計を立てがたい人々に対する社会保障制度が不十分なので発生する現象だ」と説明しながら「失業者や貧困層を『失敗者』として見受ける誤った見方もなくなるべきであるが、失業給与の引き上げや失業者への再教育の拡大など、貧困層のための社会保障制度が拡充されなければならない」と強調した。