鉄条網の柵は生態界を破壊するのか、保護するのか。
‘生態界の宝庫’である江原道ジョンソン郡所在の加里旺(カリワン)山は、山林庁がこの山の1000万坪余りに設置してある37kmに達する鉄条網の柵に対して、山林庁と環境省及び環境団体の間で攻防が加熱しつつある。
▽鉄条網の設置作業と生態界の特性
山林庁傘下の東部地方山林管理庁(庁長安昇煥:アン・スンファン)は加里旺山に‘山林生態観察院’を作る目的で1997年から鉄条網の柵を設置し始めた。
今年末の工事完了予定であるこの柵は、加里旺山の頂上を含めてソウルの汝矣島(ヨイド)面積の11.6倍に達する3284ha(約1044万坪)の山林に張り巡っている。工事費は23億ウォン余り。この柵をめぐる論争が激しくなっている理由は、加里旺山の持つ生態界の重要性のためである。
標高1560mの加里旺山は蘭などの珍しい樹木が群落を成しており、世界的にも珍しい金剛スミレ以外にも数多くの野生花や山菜などが棲息している所である。ここは朝鮮時代の代表的な山の高麗人参の産地として、当時、一般人が高麗人参を掘り出すことを禁じるために‘江陵府山蔘封標碑’が立てられていた。
針ネズミや赤鹿などの野生動物の巣でもある。
▽論議の内容
山林庁が「非武装地帯(DMZ)の生態界が保全されたのは柵があったためだ。加里旺山も生態界を保全するために柵が必要だ」と主張する一方、環境省とミドリ連合は「鉄条網の柵が動物の自由な移動を妨げ、珍しい動物の孤立や絶滅をもたらすだけである」と主張する。
山林庁は「柵の奥の方は人による乱獲から動植物を保護する『安全地帯』になる」と説明した。また、「柵のなかった時には、外地からの人々によって蘭を盗伐され、山菜や薬草などが無分別に毀損されるなど、生態界が多く破壊された」と述べた上、「動物の自由な移動のためには柵の所々に6個所の幅20〜40mの移動通路を別途に作る計画だ」と発表した。
山林庁は来年からここに山の高麗人参と金剛スミレなどの珍しい植物を復元・増殖させる一方、145坪規模の学習院を建て、学生などの生態観察の場として利用する方針だ。
しかし、ミドリ連合は「6個所の移動通路だけでは動物の自由な行き来は保証できず、柵だけでは密猟者の侵入なども防ぐことができない。また、山林庁の人手も足りない状況だ。去年5月、野生動物の保護業務が環境省に移管されただけに、ここの動物管理は環境省に任せるべきだ」と主張した。
また、環境省も「山林生態観察院の助成事業と関連して、2月と9月、山林庁に柵の設置中断を要請した。既に設置した柵も抜本的な生態調査をした上、除去か縮小調整をしなければならない」と力説した。
環境省の関係者は「野性動物の観察施設が必要な場合、制限された空間で野性動物を安定的に飼育しながら観察できるように、施設を最小規模に作ることが望ましい。また、野性動物の自由な移動を妨げる柵施設は縮小か除去されなければならない」と主張した。
慶仁秀(ギョン・インス)記者 sunghyun@donga.com






