疑惑は募るばかりだ。高級婦人服ロビー、造幣公社スト誘導、ハンビッ銀行不正融資、信用保証基金の貸出保証外圧疑惑に続いて、ドンバン(東邦)金庫不正融資事件の捜査でも検察は努めて核心疑惑から目を背けてきた。検察への国民の不信は検察首脳部に対する弾劾訴追案の票決とあいまって、最終的には国家的な不幸へと発展するのではないかと懸念される。
検察は昨日、700億ウォン規模の不正融資を主導した韓国デジタルラインの鄭鍱逷(チョン・ヒョンジュン)社長やドンバン金庫の李京子(イ・ギョンジャ)副会長ら、14人を起訴することで事実上捜査を切り上げた。これまでしきりに疑惑が持ち上がっていた政官界の人物は、この中には一人もいなかった。金融監督院の金暎宰(キム・ヨンジェ)副院長補が拘束されはしたものの、この事件とは別件であり、しかもまだ起訴には至っていない。とどのつまり、この事件に対する検察の結論は「単なる融資詐去膜盾ノ過ぎない」というものだ。
もちろん検察は補強捜査を約束している。「金監院等に対するロビー疑惑や鄭社長が設けた私設ファンドに対しては追跡を続ける」と説明している。しかし新たな事実が明らかになるとは誰も期待していない。これまで常にそうであったように、検察はこの事件でも核心疑惑についてまったく捜査の姿勢を見せなかったためである。
これまで何度も指摘したように、この事件の核心疑惑は、鄭社長と李副会長が違法行為を隠すために政官界の関係者に対してロビー活動を行ったのではないかという点だ。鄭社長が700億ウォン規模の私設ファンドを設けて募集し、場合によっては損失補填も約束していた事実が漏れ伝わるにつれて疑惑はますます深まっていった。
しかし検察は「鄭社長らの口からは政治家の名前は出てこなかった」として始めから捜査の意志を見せなかった。鄭社長らが国政監査証人訊問で与党内の人物を実名で挙げても検察は立場を変えなかった。不正融資金の使用先、私設ファンドの実体等を明らかにする訳でもなく、「政治家関連説は根拠がない」と断定する、その根拠が何なのか知りたい。
そればかりではない。「李副会長が政官界ロビー活動の核心的な役割をしていた」と鄭社長が陳述したにも関わらず、検察はこの部分に対しても消極的な態度を崩さなかった。その隙に、李副会長の代理人的な役割をしていたことが明らかになったドンバン金庫のユ・ジョウン社とシンヤンファクトリングのオ・ギジュン社長が海外に逃亡し、金監院の金副院長補の収賄の疑いなどでロビー疑惑の捜査は行き詰まってしまった。これもまた検察の捜査意志が疑われる一つの原因である。
この事件を巡るあらゆる疑惑を解決するためには「特検制の導入」は避けられない、というのが我々の結論だ。検察が去年に続いて特検制の屈辱を受けないためには、補強捜査ではなく全面再捜査に踏み切る必要があるだろう。奇しくも金大中(キム・デジュン)大統領も「腐敗撲滅の最後の決戦」を強調している。検察の立場からもこの事件をしっかりと捜査することが「最後の決戦」を援護することになるはずだ。






