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在韓記者の目

Posted November. 13, 2000 20:15,   

10月下半期最大のイベントは、やはりASEMのソウル開催と言えるでしょう。ヨーロッパとアジア各国の首脳による国際会議は、キム・デジュン大統領ノーベル賞受賞直後ということ、最近の朝鮮半島情勢が雪解けムードあるなど、韓国にとっては追い風状態での開催でした。韓国を世界に十分にアピールし、ASEMそのものも成功したと思います。

また、ASEM関連の記事のほか、これに反対する団体の記事を掲載し、多方面にわたり報道されているのに感心しました。

ASEM以外では、オルブライト米国務長官の北朝鮮訪問、虚栄化しつつある韓国内ベンチャー企業関連記事、秋らしく紅葉のニュースなどが目につきました。

記事内容

社会

ASEMに関連したニュースでが多い中で、「KAL操縦士全面スト;「不法ストに厳重対処」(10月22日付)」は韓国初のパイロットのストということで韓国を訪れようとする観光客にとってはおおきな衝撃だったでしょう。関連記事でもある「空港にて疲れ果てて居眠りする外国人たち(10月22日付)」は、大韓航空ストによる影響が外国人利用客に及んでいる様を写真入りで紹介していて、韓国人だけの問題でないことを表しており印象的でした。

 再開発という意味では「[旌善「スモールカジノ」オープン]「ジャックポットの夢」初日5000人の入場(10月30日付)」の記事が面白かったです。江原道の山間部にある旌善という街に韓国初のカジノが10月28日にオープンして大賑わいという内容だったのですが、これまではリゾート開発はゴルフ場やスキー場の開発が主流でしたが、カジノというのは新たな発想ですね。この模様は「不夜城のカジノ(10月29日付)」でも紹介されています。

逆に内容把握ができなかった記事は「グリーンファミリー環境浄化(10月15日付)」の中です。記事の最後に「オ・ミョン総裁参席」とあるのですが、韓国の国内事情を知らない読者のために、彼がどのような団体の総裁で、環境浄化に参加したかの説明を補足する必要があると思います。

政治

これはもう「ASEMソウル開催」、「オルブライト国務長官北朝鮮訪問」関連記事が二大ニュースであるのは疑う余地はありません。

ASEMについては、ほとんどの記事が成功したと報じています。中でも「ASEMが、ソウルに残した明暗」はなるほど感心しました。記事の冒頭では成熟したソウル市民意識を評価した一方、後半は日本と同じでASEM関連商品を売りだし便乗商法で儲けようと考えた周辺商店が、逆に周辺の厳重な警戒のせいで一般の買い物客も減ってしまったというアイロニーを紹介していました。周辺のコンビニは30%の売上増加、警察力の集中動員による盗難事件の増加など波及効果(?)に触れている点も評価できます。

 金泳三(キム・ヨンサム)前大統領の記事では、「金泳三、[大統領、ノーベル賞受賞のため北に譲歩しすぎ](10月17日付)」、「金泳三前大統領 高麗大特講(10月20日)」がありましたが、どちらも過激な内容でした。前者は1973年にキッシンジャー国務長官と旧北ベトナムレトクト共産党書記がノーベル平和賞の受賞者に選ばれたが、一年を待たずにベトナムが共産化し、韓国にもその可能性があること。後者はクリントンが北に戦争をしかけるのを喧嘩腰で反対したということです。金前大統領発言にたいする韓国、および米国政府の反応が紹介されていないのは残念です。

 

経済

内実を伴わないベンチャー企業についてのニュースが目立ちました。10月23日、24日付の「韓国のベンチャー企業を省みる」では、内実を伴わないベンチャー企業の実態を報じています。日本でも政治倫理、企業倫理が問題になっていますが、韓国ではモラルハザードという言葉を使っていますね。内容の説明は省略しますが、ちょうどバブル期の日本と似た状況であると思いました。

「ノーベル平和賞を受賞した首脳、政策には失敗が多い(10月16日付)」ではマンデラ、ゴルバチョフ元大統領の例を引用しています。IMFを克服したと発表して以来、韓国は経済成長率を高めているといわれていますが、最近はやや失速気味。

消費の低迷などもあり、完全に回復したとは言えないようです。

一方では、「韓国人アメリカで100大富豪に入る(10月16日付)」、「対北への送金、国内金融機関でも可能になる見通し(10月26日付)」など明るい話題もありました。「韓国人アメリカで…」については、トップにランキングされた主だった人物を報じていれば、より興味深い記事になっていたでしょう。

文化

「アジア、ヨーロッパの人形が全部揃ってる!」など、ASEM関係の記事もありましたが、異色なのは「米国のASEMへの観点」でしょう。アメリカからの取材陣の数が少なく、取材にきていた記者たちの関心もASEMよりは韓国の経済不安にあるという点も興味深いです。このような記事は本来、社会か政治面ではと思うのだが、これも報道文化の違いということでしょうか。

「日本、新聞博物館横浜に開館(10月25日付)」などは韓国とは直接関係ないニュースですが、海外の情報も紹介していることで評価できます。

「日本漫画『ドラゴンボール』ノーカットで再出版(10月23日付)」、「ソ・テジ、日本進出打診中(10月24日付)」など、ジャンルは違えど日韓の文化交流が進んでいるのが覗えます。

スポーツ

スポーツの報道は極端に少なかったと思います。アジアカップでの代表チームの活躍は報じられていましたが、パラリンピック、韓国プロ野球のコリアンシリーズなどを取り上げた記事はわずかでした。

「金美賢、2年ぶりに国内大会優勝(10月29日付)」は、写真記事として報じられていたのですが、肝心の競技種目や大会名が記載されていません。彼女は韓国では有名な選手なのでしょうが、彼女をしらない読者のために、せめて競技種目だけでも紹介して欲しかったです。

翻訳

全体的に翻訳のレベルは上がっています。文章も極端におかしいのは少なくなっています。ですが、いくつか目につく部分もありました。

 「特派員の平壌紀行(10月26日付)」の中では『カムコーダー』という言葉を使っていますが、これはビデオカメラのことです。外来語といっても日本と韓国では単語が違うので注意が必要です。

 外来語だけでなく、漢字の使い方の間違いもあります。「現代建設、追加自救計画を発表(10月19日付)」での自救は自力更正のこと。 「会社員 保険料25%引き上げ(10月19日付)」の本文にある報酬の場合、ここでは所得、あるいは収入と直したほうが記事の内容に合っているでしょう。

「ASEMの準備に奔走する大使館(10月20日付)」では、各国首脳の夫人にたいして『女史』という呼称を使っています。女史という呼称は韓国では広く使われていますが、日本では夫人のほうを多用します。例えば、ヒラリー大統領夫人というように、役職+夫人という使い方にしたほうが日本人にはしっくりくるでしょう。

「崔大使の懸念表明(10月29日付)」の文中で使われた『鄰人』『鄰国』は単なる漢字間違いです。正しくは『隣人』『隣国』になります。このような漢字間違いがいくつか見うけられました。校正の段階でもう少し気を使えば、今後このようなミスは少なくなると思います。

文章的にはかなり改善されたと冒頭に書きましたが、表現の仕方がおかしな文章もありました。

「国会、政府部署と傘下機関の国政監査に着手(10月19日付)」の中で「アークワールドに納品をするために空港公社側が無理に設計を変えた……」とありますが、正しくは「アークワールドに納品させるために空港側が無理に設計を変えた……」と使役表現を使ったほうが本文の内容に合っています。助詞の使い方など些細な事と思われるかもしれませんが、正しい日本語を表現するという意味から、より注意が必要であると言えます。

デザイン

今回ASEM関係の記事を調べるに当たり、苦労したのは関連記事探しでした。日本の新聞系サイトのように、記事のしたに関連記事の見出しをクリックして移動できるようにすれば便利ではないかと思います。

デザインといえるかどうかわかりませんが、文章の配列が妙な記事もありました。「オルブライト米国務長官、23日訪北(10月19日付)」では、記事が途切れて段落が変わっています。技術的問題でなければ直しておいたほうがいいでしょう。